10月19~22日にかけて韓国・大邱市で開催された第1回韓国国際水週間(Korea International Water Week: KIWW)に参加しました。
【韓国国際水週間(KIWW)開催の背景】
KIWWは、2015年4月に第7回世界水フォーラムをホストした韓国が、そのフォローアップ活動として、産官学が協働で、水問題の解決に向けた具体的実施策を提示することを目的に創設した最初のイニシアティブです。
開会式のようす
【KIWWの概要と特徴】
KIWWは以下のように開催されました
日時:10月19~22日
共催:韓国政府(国土交通部、環境部)、大邱市、慶州市及び韓国水フォーラム
参加:国際機関や62か国の政府機関・自治体、学術機関、NGO、 韓国民間企業等より12,300人程度が参加
テーマ:持続可能な発展のための水パートナーシップ
KIWWの特徴としては、第7回世界水フォーラムのホスト国であった韓国が、引き続き水分野において国際的リーダーシップを発揮するために、第7回世界水フォーラムのフォローアップを兼ねたセッションや、水分野における持続可能な開発目標(SDG6)の実施に焦点を当てたセッションを開催していたことです。
また、市民団体の関心を高める取り組みにも力を入れています。例えば、韓国の学生や市民団体、韓国国外の団体によるモチベーションや取り組みを後押しする表彰が設けられ、韓国首相賞に選ばれた団体には、今後の奨学金として2,000,000ウォン(約18万円)が授与されました。
Junior Water Prize授与式の様子
【世界水都市フォーラム(World Water Cities Forum: WWCF)の同時開催】
KIWWと同時並行で、大邱市は「世界水都市フォーラム(World Water Cities Forum: WWCF)」を主催しました。WWCFには、大邱市のほか、名古屋市上下水道局、オレンジカウンティ(アメリカ)、台北市(台湾)、ホーチミン市(ベトナム)、プロブディブ市(ブルガリア)、メトロ・マニラ(フィリピン)、モンペリエ市(フランス)、レーワルデン市(オランダ)も参加しました。各都市の代表者は、「持続可能な発展に向けた都市と水」というテーマのもと、水関連課題の解決、持続可能な発展に向けたイノベーション、及びそのプロセスやアプローチ、ガバナンス、持続可能な資金メカニズムや技術、及び、各都市が、地元の学術機関・研究者や、産業・民間部門と共同で取り組んでいるプログラムについて、知見や、経験、努力を共有し合いました。
WWCFでは、大邱市長自らが、参加都市の発表から学び水産業先進都市達成に向けた都市間パートナーシップの構築による相乗効果を目指している姿が特徴的でした。
そしてWWCFでは、先進都市の特徴として、第1に、水問題の解決に向け、リーダー自らが先進事例から積極的に学び、より良い都市にしようとする短・中長期的なビジョンを持っていること、第2に、その実施に向けて、住民とコミュニケーションを積極的にとり、人材・組織育成を積極的に推進してこと等が共有されました。
世界水都市フォーラムの参加者
【終わりに。韓国による今後のイニシアティブ】
韓国は今年KIWWを新設し、来年は、慶尚北道・慶州市で9月20~23日に第2回KIWW、及び、アジアの水課題解決に焦点を当てた最初のAsia International Water Week(AIWW)を同時開催することを公言しました。このように第7回世界水フォーラム以降、水分野における韓国の積極的な行動が目立ちます。水に関する類似国際会議が世界中で開催されている中、韓国は関連主体のノウハウを取り入れながら、自国の取り組みに関するアピールを国際的展開しているように見受けられます。そのような中で韓国主導のイニシアティブ、とりわけKIWWとAIWWが、国際的に、特にアジアにおいてどのような役割を果たしていくのか、その動向を分析していきたいと考えます。
(報告者:マネージャー 朝山由美子)