JWF News 12月号 国連気候変動枠組条約第24回締約国会議(UNFCCC COP24)参加報告

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【JWF News Vol. 170】国連気候変動枠組条約第24回締約国会議(UNFCCC COP24)参加報告
2018年12月19日発行

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◇目 次◇

・巻頭言 多様性が進化

・日本水フォーラムからの報告
– 国連気候変動枠組条約第24回締約国会議(UNFCCC COP24)参加報告
– ダルビッシュ 有 水基金 第12号プロジェクト 完了しました!
– 水の安全保障戦略機構 第16回基本戦略委員会を開催しました

・活動へのご支援・ご協力のお願いについて

・掲示板コーナー

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・巻頭言 多様性が進化
代表理事 竹村公太郎

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2018年の暮れを迎えました。本年も多くの皆様のご支援を得て、私たちは日本水フォーラムの活動を進めてまいりました。ブラジルでの第8回世界水フォーラムへの参加、複数の国における草の根活動の支援、そして、水の安全保障戦略機構の「第16回基本戦略委員会」開催等の多様な活動でした。

多様性といえば、「生物多様性(Bio-Diversity)」という言葉があります。最初にこの言葉に出会った時には不思議な思いになりました。なぜDiversityと言うのだろうという思いでした。

ダイバーシティの類似語に「Diversion(ダイバージョン)」という言葉があります。この英語は、40年間以上も私に染み込んでいる大切な単語です。

Diversion(ダイバージョン)
40年前、大学を卒業して鬼怒川の山奥の川治ダムで社会人の第一歩を踏み出しました。
担当は、建設省で最大の高さ140mのアーチダムの本体設計と基礎の地質調査でした。ちょうど川治ダムの現場では、ダイバージョン工事が開始されようとしていました。
ダムは、川をせき止めて、ダム建設が川の中で行われます。しかし、水が流れていてはコンクリートの打設ができません。そのため、いったん川をダム上流から迂回させる、河川トンネルを掘ります。このトンネルで川の水を迂回させ、ダム地点をドライにして、ダムのコンクリートを打っていくのです。

この川を迂回させるトンネルが、「ダイバージョン・トンネル」でした。

私は毎日のようにダイバージョンの入口の岩盤を調査しました。ダイバージョンの工事が開始されてからも、何度もダイバージョンに入り込み岩盤をハンマーで叩いて回りました。ダイバージョンはダム建設地点の岩盤調査にとっては絶好の現場でした。
私の土木技術者としての人生は、ダイバージョンの現場で始まったのでした。

多様性がDiversity?
私はダム現場で「分流する」という概念を、ダイバージョンという英語のまま身につけていました。
その後、大川ダム、宮ヶ瀬ダム建設に従事しました。いつしか「ダイバージョン」は「仮排水トンネル」と呼ばれるようになっていました。

しかし、私の身体からはダイバージョンという英語は決して抜けませんでした。

その私が、生物多様性の英語の「バイオ・ダイバーシティ」という単語を目にしたとき「なぜ、分流するのが多様性なのだろう?」と戸惑ったのです。
手元の辞書を引いても、ダイバートという動詞の和訳は「分岐する、分流する」とあります。私の理解は間違いではありませんでした。やはり、ダイバーシティには、分岐、分流するという意味があったのです。

なぜ、分流することが日本語では多様性になるのか?
私はいつの間にかポンチ絵を描いていました。そのポンチ絵がその疑問を解いてくれたのです。(図―1)がダムのダイバージョンの説明図です。(写真)はダイバージョン・トンネルの入口です。

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(図―1)

 

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河川の水を飲み込むダイバージョン・トンネル
出典:国土交通省九州地方整備局 立野ダム工事事務所

写真

分岐する進化
川が何度も分岐する様子を表した図が(図―2)です。流れが分岐を繰り返し、次第に別々の流れになっていきます。
日本語の多様性は、この流れが分岐した後の「結果」を表現した言葉でした。それに対して、英語のダイバーシティは、流れが分岐する「その瞬間」を表現した言葉でした。

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 (図―2)

この図は、まるで生物の進化の系統図のようです。生物の種が分岐していくのが進化です。(図―3)が進化系統図です。
種が分岐すれば、種は多様性を保持していきます。種が多様性を保持すれば、環境の激変に耐えて、生き残ることができるのです。

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カブトガニと近縁な動物の系統関係
出典:『保全生態学入門』鷲谷いづみ・矢原徹一

(図―3)

分岐の反対が合流です。合流は多様性の反対の画一性をもたらします。種の画一性は、環境の激変には耐えられません。種全体が崩壊してしまいます。進化が多様性なら、画一性は退化です。生物は種を多様にして新しい環境に生き延びるのです。多様性は人間を含めた生物の生き残り作戦そのものでした。 

私たち日本水フォーラムも、水環境問題の解決に向けて、多様な活動に挑戦していく覚悟です。NPOの特権は、失敗を恐れず、新しい課題に取り組んでいくことです。新しい課題に飛び込んでいく先に、新しい道が見え、新しい世界が広がっていくはずです。それが進化の原則だからです。

新年も日本水フォーラムは、過去の実績を大切にしながら、新しい課題に飛び込んでいく決意です。

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・日本水フォーラムからの報告

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– 国連気候変動枠組条約第24回締約国会議(UNFCCC COP24)参加報告

COP24(開催期間:2018年12月2日~14日)は、2020年以降の温室効果ガス排出削減や、気候変動の影響への適応の進め方に関するルールを議論する重要な国際会議です。今回の会議には、各国政府等(196カ国及び欧州連合)、オブザーバー機関(国連機関、国際機関、NGO)などより、21,500名以上が参加しました。
気候変動の影響のほとんどは、水を通じて現れます。世界の持続可能な発展のためには、頻発・激化する水害や渇水などへの対策・対応が不可欠です。また、水管理・水利用における省エネ・創エネは、温室効果ガスの削減に貢献できる分野です。
日本水フォーラムは、こうした分野における日本の取り組みを発信するべく、COP24に参加しました。

▼詳しくはこちら▼
https://www.waterforum.jp/all/transmitting_japanese/2018/1219/?p=10458

(報告者:副ディレクター 浅井重範)

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– ダルビッシュ 有 水基金 第12号プロジェクト 完了しました!

第12号プロジェクトでは、パキスタン北部ハイバル・パフトゥンハー州の村において、手押しポンプの設置による安全で清潔な飲み水水源の確保のための活動を実施いたしました。
本プロジェクトの実施により、村に住む52世帯が安全で清潔な飲み水水源を利用できるようになりました。

ご寄付頂いたダルビッシュ有投手、並びにご寄付いただいた皆さまのご支援とご協力に感謝申し上げます。

▼第12号プロジェクトについてはこちら▼
https://www.waterforum.jp/all/grass_roots_projects/darvish/2018/1213/?p=10468

▼ダルビッシュ 有 水基金や過去に実施したプロジェクト、参加方法についてはこちら▼
https://www.waterforum.jp/jp/what_we_do/grass_roots_projects/darvish

(報告者:マネージャー 郡司晃江、石原小枝)

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– 水の安全保障戦略機構 第16回基本戦略委員会を開催しました

日本水フォーラムが事務局を務める水の安全保障戦略機構は、2018年12月12日に参議院議員会館 特別会議室にて第16回基本戦略委員会を開催しました。
基本戦略委員会は水の安全保障戦略機構の執行審議会委員から構成され、主に日本の21世紀文明を見据えた流域管理のあり方等を検討する委員会です。2009年1月30日の設立以来、16回目となる今回の委員会は、初めての参議院議員会館での開催となり、過去最多となる国会議員11名も含めた産官学の様々なチーム水・日本の関係者が委員会に出席しました。

▼詳しくはこちら▼
https://www.waterforum.jp/all/policy_recommendations/2018/1213/?p=10431

(報告者:マネージャー 野口淳)

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・活動へのご支援・ご協力のお願い

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日本水フォーラムは、皆様の会費及び寄付等によって国内外の水問題解決に向けた活動を行っております。
日本水フォーラムの活動を支援していただける会員を募集しております。
水問題解決に向けた持続可能な取組みを行うために、皆様の温かいご支援をなにとぞよろしくお願いいたします。

▼会員募集の詳細はこちら▼
https://www.waterforum.jp/jp/get_involved/

日本水フォーラムは、国内外の水問題解決に向けて分野問わず幅広い方々と協働で活動を展開しています。
日本水フォーラムの活動にご協力いただける方、ご興味のある方は以下よりお問い合わせください。

▼問い合わせ先はこちら▼
TEL: 03-5645-8040
E-mail: news[at]waterforum.jp
※[at]をアットマークに変えて送信してください。

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・掲示板コーナー

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【第11回水道技術国際シンポジウム】
主催:第11回水道技術国際シンポジウム実行委員会
日時:2019年7月9日(火)~11日(木)
場所:パシフィコ横浜 会議センター
https://water2019.jp

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JWF News Vol. 170 平成30年12月19日発行
特定非営利活動法人日本水フォーラム
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