第65回利根川水系連合・総合水防演習が5月21日 (土)、茨城県取手市東地先で開催されました。水防演習は日本の水防技術伝承と防災意識向上を主な目的とし国土交通省と利根川流域の都道府県並びに開催市によって年に一度開催されるもので、今年は65回目の開催となりました。昨年9月に発生した関東・東北豪雨による鬼怒川氾濫での経験を踏まえ、出水時の河川巡視、情報伝達、水防工法、避難および救出・救護に至る一連の訓練が実践的に行われました。
日本水フォーラムは、この災害からもたらされた経験・知識を世界に発信するべく、在京大使館・国際機関の方々等を対象として「水防演習大使館ツアー2016」を開催いたしました。当日は、シリア・アラブ共和国臨時大使をはじめ、13カ国・総勢20名の在京大使館及び国際機関関係者の方々にご参加いただきました。
また、水防演習会場の出展エリアにおいてブースの出展も行い、一般の来場者の方々や演習参加者に世界の水事情について理解いただく機会として、水クイズを実施し、水に関する啓発活動を行いました。
日本水フォーラムは、水防演習における日本の伝統的な技術、官民連携による防災体制構築等の発信を通じて、日本の叡智の世界への発信を行い、世界の水防災レベルの向上に貢献してまいります。
「第65回利根川水系連合水防演習」概要
日時 | 2016年5月21日 (土) |
会場 | 茨城県取手市東地先 |
主催 | 国土交通省、茨城県、埼玉県、千葉県、栃木県、群馬県、東京都、神奈川県、取手市 |
水防演習概要 | 開会式
演習第1部:水防訓練(水防工法、避難勧告広報訓練、住民の水防活動支援、 演習第2部:救出・救護訓練 閉会式 |
参加者数 | 約14,000人((来賓及び一般見学者含む)) |
「水防演習大使館ツアー2016」概要
第1部の水防訓練では、昨年9月に発生した関東・東北豪雨と同規模の災害を想定し、演習が行われました。災害発生直前の警報から河川氾濫の危険に対する避難勧告まで、緊張感あふれる演習が行われ、参加者からは連絡体制の綿密さについて驚きの声が聞かれました。
第2部の救出・救護訓練では普段目にすることのない、さまざまな特命を持つバイクや水陸両用車、ヘリコプターや専用船等が一堂に集まり、偵察・救助・救出をはじめとする迫力ある演習を行いました。 参加者からは日本の水防技術の高度さを称賛し、それを広める水防演習・水防演習ツアーの重要さについての感心の声も聞かれました。
水防演習後は、演習が行われた会場からやや上流に位置する稲戸井調節池を見学しました。見学に際して、国土交通省関東地方整備局利根川上流河川事務所副所長小栗氏、及び同事務所守屋出張所係長の秋谷氏をお招きし、パネルや資料を使用しながら、昨年9月の関東・東北豪雨で機能した様子や、調節池の概要について説明がなされました。
参加者からは、調節池が果たす役割や構造について感嘆の声が聞かれ、「母国では季節問わず洪水が発生するのでぜひこの技術を取り入れたい」といった声も聞かれました。
開催目的 | 在京大使館・国際機関の関係者の方々に日本の伝統的な水防活動について視察、 体験機会提供 |
ツアー内容 | 水防演習視察(水防訓練視察、工法体験 – 土のう作りや縄結び、救出・救護訓練視察)、 稲戸井調節池の見学 |
参加者 | シリア・アラブ共和国臨時代理大使を含む13カ国20名の大使館関係者 (参加国:アンゴラ、ウガンダ、カンボジア、ケニア、ザンビア、シリア、 中国、ベネズエラ、 メキシコ、ラオス、リベリア、ルーマニア、レソト、 国際獣疫事務局(OIE)アジア太平洋地域事務所) |
第一部見学の様子 | 第一部に参加されたキヤノン取手事業所の皆様 |
ロープワーク体験の様子 | 水防工法の説明 |
稲戸井調節池の概要説明 | 稲戸井調節池での集合写真 |
「水防演習展示ブース2016」
出展ブースには、消防団や一般来場者を含めて約1万人の参加者が集まりました。
日本水フォーラムは展示・出展エリアにおいて、“水クイズ”と題した展示を通じ、訪れた方々に日本や世界の水に関する啓発活動を行いました。約170名の来場者があり、「パネルを見て水への興味を持った」、「日本、世界の水事情についてもっと詳しく知りたいと思った」といった声が聞かれました。
問題を考える方々の様子 | ブースの様子 |
スタッフによる説明 | 大使館ツアーに参加された皆様のご来訪 |