この度の令和元年台風第19号により被災された皆様に心よりお見舞いを申し上げます。
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【JWF News Vol. 180】【10月19日開催】「第4回アジア・太平洋水サミット開催1年前イベント」ご案内
2019年10月16日発行
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◇目 次◇
・巻頭言 日本の河川行政の進化 ―激変した市民団体との関係
・日本水フォーラムからのお知らせ
– 【10月19日開催】「第4回アジア・太平洋水サミット開催1年前イベント」ご案内
– 【11月20日開催】セミナー『SDGsをビジネスチャンスに~水分野の可能性』
・日本水フォーラムからの報告
– 令和元年度臨時総会を開催いたしました
・活動へのご支援・ご協力のお願い
・掲示板コーナー
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・巻頭言 日本の河川行政の進化 ―激変した市民団体との関係
代表理事 竹村公太郎
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国土交通省の研修
この十数年間、国土交通省の研修所で「将来の河川管理」についての講義を行っています。北海道から沖縄まで全国の出先機関から河川行政に携わっている後輩が集まっています。講義と言っても先輩としての気楽な講話です。
先日の研修でフッと彼らに質問してみました。「今、君たちの管内で環境市民団体ともめている件はある?」と。驚いたことに誰も手を上げなかった。何かの間違いだと思って、再度、聞いてみました。
皆、私の執拗な問いかけに怪訝な顔をしていました。「本当にトラブルはない?」と念を押すと、みなうなずくのでした。
現在の河川行政の現場では、環境市民団体ともめている案件はないのでした。
愕然としてしまいました。私が歩んできた世界と、彼らが歩んでいる世界は次元が異なっているのです。
河川行政の進化
30年前、私は建設省(今の国土交通省)河川局の長良川河口堰事業の苦戦の中にいました。ボクシングでいうなら、河川行政はリングのコーナーに追い詰められ、ダウン寸前だったのです。建設省内部でも、河川局はダメになるのではないか、と心配されていたようです。
そこまで追い詰められた日本の河川行政は、徐々に変身していくこととなりました。
長良川河口堰事業では、技術資料や環境資料を新たに作成し、社会に公表していきました。テレビカメラに囲まれた完全公開の円卓会議も繰り返し行いました。観測データの完全情報公開も行いました。
そして、平成9年(1997年)、河川法の大改正を行いました。
第1条の目的に「環境保全」を追加したのです。第1条の目的に入れたということは、「環境に配慮した河川工事をしよう」ということではありません。「環境そのものを河川行政の目的にする」ということです。
それまで、全国の河川行政に携わる職員たちは、環境保護団体の活動が河川事業の阻害になるのではないかという心配でウオッチしていました。もっと厳しい言い方をするなら監視していたのです。
しかし、環境保全が河川法の第1条の目的に入ると、全国津々浦々の河川行政の動きが少しずつ変化していることが耳に入ってきました。各河川の現場で、河川行政の職員たちが地元の環境保護団体と一緒になって行動しているという情報です。
河川法第1条の目的の「環境保全」は幅広い概念です。水質、魚介類、草木、鳥類そして陸上動物と空間的に、時間的に広がっていきます。行政だけで環境保全を行うことは不可能です。流域住民の協力が絶対に必要となってきます。その住民との協力連携が開始されたのでした。
ステークホルダー(関係者)
水の国際会議では必ず、「水問題は全てのステークホルダーが参加して解決に当たっていくべき」と主張されます。
このスローガンは美しいのですが、実態は大変難しい課題なのです。水を巡る関係者で仲が良いなどは、聞いたことがありません。仲が悪いからこそ「水問題は全てのステークホルダーで解決」というスローガンが掲げられるのです。
1997年の河川法改正で「環境保全」が入ったことによって、河川行政と市民団体の対立は消えつつありました。
その動きをさらに加速させる法律が、日本で成立しました。2014年、議員立法で成立した水循環基本法です。流域のすべての水関係者、行政、農民、市民、民間企業、学術界、NPOによって、流域の水問題を解決していこうという動きです。
30数年前、河川行政と環境保護市民団体は厳しく対峙していました。
21世紀の今、もう河川の現場では、行政と市民運動の厳しい葛藤はなくなっています。
自分の短い人生の中で、このような劇的な社会変化を目撃するとは予想もできませんでした。日本の水行政と流域の水関係者の相互理解と連携は、世界の最先端を走るところまで進化したのです。
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・日本水フォーラムからのお知らせ
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– 【10月19日開催】「第4回アジア・太平洋水サミット開催1年前イベント」ご案内
第4回アジア・太平洋水サミット(4th APWS)開催1年前イベントを、来る10月19日(土)13時30分から熊本市で開催します。(参加無料)
4th APWSの開催記念リレーシンポジウムとして、これから全3回のイベントを熊本市において実施します。その第1回目として、4th APWS開催の1年前という節目に、リレーシンポジウムのオープニングとなるイベントを、熊本市運営委員会と日本水フォーラムとの共催で開催します。
このイベントは、これから4th APWSの成功に向けて盛り上げよう、という機運の醸成を図るものです。多数のご参加をお待ちしております。
▼詳しくはこちら▼
https://www.waterforum.jp/all/policy_recommendations/apws/2019/1015/?p=12215
(報告者:マネージャー 上村奈津子)
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-【11月20日開催】セミナー『SDGsをビジネスチャンスに~水分野の可能性』
日本水フォーラムは、来る11月20日(水) 11:40~12:30、セミナー『SDGsをビジネ
スチャンスに~水分野の可能性』を開催します。
日本能率協会が隔年開催する展示会「INCHEM TOKYO 2019」内の、「水イノベーショ
ン特別セミナー」です。
SDGs達成年限の2030年まであと10年、日本の中小企業による取組方策を、水関連課題
を中心に提案します。
▼詳しくはこちら▼
https://www.waterforum.jp/all/info/2019/1011/?p=12179
(報告者: マネージャー 桑原清子)
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・日本水フォーラムからの報告
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– 令和元年度臨時総会を開催いたしました
令和元度臨時総会を9月26日(木)に開催いたしました。
当日は、総会の議決を要する会務の執行に関する審議事項として「平成29年度及び平成30年度決算に関わる書類の修正について」を審議いただき、会員の皆様に承認をいただきました。
また、活動報告として、第4回アジア・太平洋水サミット準備状況、ダルビッシュ有 水基金第13号実施状況、ストックホルム世界水週間2019活動報告等報告させていただきました。
▼詳しくはこちら▼
https://www.waterforum.jp/all/info/2019/1002/?p=12197
(報告者:ディレクター 石鉢 盛一朗)
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・活動へのご支援・ご協力のお願い
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日本水フォーラムは、皆様の会費及び寄付等によって国内外の水問題解決に向けた活動を行っております。
日本水フォーラムの活動を支援していただける会員を募集しております。
水問題解決に向けた持続可能な取組みを行うために、皆様の温かいご支援をなにとぞよろしくお願いいたします。
▼会員募集の詳細はこちら▼
https://www.waterforum.jp/jp/get_involved/
日本水フォーラムは、国内外の水問題解決に向けて分野問わず幅広い方々と協働で活動を展開しています。
日本水フォーラムの活動にご協力いただける方、ご興味のある方は以下よりお問い合わせください。
▼問い合わせ先はこちら▼
TEL: 03-5645-8040
E-mail: news[at]waterforum.jp
※[at]をアットマークに変えて送信してください。
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・掲示板コーナー
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【第17回「川の自然再生」セミナー】
主催:公益財団法人リバーフロント研究所
日時:令和元年10月29日(火)
場所:月島社会教育会館4階ホール
http://www.rfc.or.jp/
【第202回河川文化を語る会】講演『水都大阪、流転する歴史の残像を求めて』
主催:公益社団法人 日本河川協会
日時:2019年11月21日(木)15:00~17:00
場所:エル・おおさか
http://www.japanriver.or.jp/kataru/kataru_index.htm
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