JWFファンド2019 南スーダン中央エクアトリア州ブング郡のベルパヤムにおける児童と脆弱な住民、難民帰還者たちのジェンダー関連被害を減少させるための水と衛生サービスへのアクセス改善(南スーダン)

JWFファンド2019

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※数字は支援件数、カッコ内は受益者

JWFファンド2019の支援件数と受益者数

 

JWFファンドは、2005(平成17)年に日本水フォーラム(JWF)が設立し、JWFへの会費や一般の方から寄せられた寄付を元に独自に運営する助成基金です。発展途上国の水問題解決のために草の根活動を行っている団体を対象に、毎年プロジェクトを公募し、採択された団体には1プロジェクトあたり1,000 USドルを上限とした資金を助成しています。

JWFファンド2019では36カ国から302件の応募があり、選考の結果、6カ国7件の活動プロジェクトを支援しました。

本ページでは、南スーダン中央エクアトリア州ブング郡のベルパヤムにおける児童と脆弱な住民、難民帰還者たちのジェンダー関連被害を減少させるための水と衛生サービスへのアクセス改善(南スーダン)について、ご紹介します。

南スーダン中央エクアトリア州ブング郡のベルパヤムにおける児童と脆弱な住民、難民帰還者たちのジェンダー関連被害を減少させるための水と衛生サービスへのアクセス改善(南スーダン)

実施概要
・実施団体:Wealth Health and Education for Empowered Life (WHEEL) South Sudan(#210)
・実施国・地域:南スーダン、中央エクアトリア州
・実施期間:2019年10月~2020年3月
・受益者数:1,998人(女性819人、男性333人、子ども846人)
・費用:1,197ドル(JWFファンド992ドル、実施団体205ドル)

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南スーダン

実施地の課題
WHEELは2019年6月1日~3日の間にブング郡で3日間のアセスメント活動を実施し、ベル村の2,000人以上の住民には、すでに機能していないハンドポンプ付きの井戸(1基)しかないことが分かった。ベル村のこの井戸は、ベル村の小学校に隣接し、2016年9月に紛争が起こるまでは、小学校の主な水源として利用されていた。村の住民は、紛争の結果、避難を余儀なくされた。2019年4月に村に戻ってからは、管理のなされていない表流水から水を飲んでいる。現在、848人の児童は、排せつ物によって汚染され安全ではない、この表流水に頼っている。表流水を細菌検査した結果、大腸菌が検出され、「このコミュニティでの病気の70%は下痢、腸チフスそしてマラリアである」というベル村の保健所の情報を裏付けることとなった。これは、コミュニティの人々が飲み水や調理に、安全ではない表流水を使っていることによる。

プロジェクト実施前の様子

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WHEELのスタッフと村の住民 修繕前のベル村の井戸の様子

 プロジェクト実施概要
ブング郡役所にてプロジェクトの初回ミーティングを行った後、ベル村の中心地において、5人の住民リーダーを含む住民たちに対してプロジェクトの説明を行った。この2つのミーティングにより、プロジェクトの道筋がつけられ、本プロジェクトを開始することができた。ベル村の井戸の修繕として、大小さまざまな修理やポンプ設置場所の整備を行い、特に学校敷地内では、井戸周りが水浸しにならないように排水路を整備した。今ではきれいな水が毎日住民に供給されている。
12名(女性9名、男性3名)からなる井戸利用管理委員会を設立し、衛生に関する2日間のトレーニングを受けてもらった。この委員会は、月に1度、自らの業務を評価するためのミーティングを行っている。また、ポンプ技術者1名も、ポンプ故障時に問題なく対処できるようにトレーニングを受けた。彼は井戸利用管理委員会のメンバーの一人である。
3月には、プロジェクトの効果や足りない点を把握するためにプロジェクト評価ミーティングを開催した。主に女性とコミュニティのリーダーが参加した。

プロジェクト実施の様子

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ベル村中心地での
住民リーダーとのミーティング
塩素を用いた水処理を行う
井戸利用管理委員会のメンバー

実施内容
・ 関係者との初回プロジェクトミーティング
・ ベル村の壊れた井戸1基の修繕
・ 井戸利用管理委員会の設立とトレーニング
・ ハンドポンプ技術者1名へのトレーニング
・ プロジェクトのモニタリング
・ プロジェクト評価

プロジェクト実施後の様子

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2日間のトレーニング受講後の
井戸利用管理委員会のメンバー
修繕後、安全な水を利用する
小学校の子どもたち

現場からの声

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Joyce Abrahamさん(33歳、女性)

  • きれいで安全な水を与えてくれた日本水フォーラムに感謝しています。私たち女性は、水汲み場で女性や少女を襲う犯罪者から、私たちの命、そして少女たちの命を救ってもらって本当にうれしく思っています。本当に幸せです。日本の皆さん、本当にありがとうございました。

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Akite Christine Pitaさん(20歳、女性)

  • 私は嬉しくて幸せです。トレーニングへの参加は初めてでしたが、聞くだけでなくやってみるということ、汚い水をきれいにするということ、コレラ感染防止のために正しく手洗いをすること、井戸の管理方法など、とても興味深かったです。私をコミュニティのリーダーにしてくれて、そして何より私たちの命を安全な水で救ってくれたJWFへ、‘Suk-ran Sedit’(アラビア語で本当にありがとう、の意味)。
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Monica Kejiさん(16歳、女性)

  • 日本水フォーラムに、本当に感謝しています。私たちは今では近くで水浴びをすることができます。私たちや少女たちが恥ずかしい目にあうことはないでしょう。そして、もう2度と水のためにレイプされて姉妹を失うことはないでしょう。JWFの皆さん、本当にありがとう!(涙声)

プロジェクト成功の工夫
・プロジェクトの初回ミーティング、及び井戸利用管理委員会の関与と委員会メンバーへのトレーニングがこのプロジェクト成功の鍵であった。

プロジェクト実施時の課題
・南スーダンの経済変動。プロジェクトで使用する資材の価格に影響を与えた。
   (予算時と比較して単価が上昇した)
・豪雨による洪水。プロジェクトの各活動が遅れる原因となった。
・(継続的な課題)きれいで安全な水を得られる場所が1箇所しかないことによる井戸の混雑。

(報告者:ディレクター 浅井重範)

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