JWFファンド2020には、35カ国から347件の応募がありました。選考の結果、本年度は6カ国7件のプロジェクトに対し支援を実施することを決定しました。
JWFファンド2020 支援プロジェクトの概要
*下記のプロジェクト概要は、各応募団体の申請書類を和訳して作成したものです。
1.Kake村の湧水保護設備の建設による、飲み水の水源改善(カメルーン)
【活動概要】
・実施団体:Bridgers Association Cameroon(#047)
・活動名(原文):CONSTRUCTION OF A PROTECTIVE STRUCTURE OVER A WATER RESOURCE COLLECTION POINT IN KAKE-CAMEROON
・実施国・地域:カメルーン・Mbam-et-Kim 県
・実施期間:2020年10月~2021年2月
・受益者数:550人(女性150人、男性136人、子ども264人)
・費用:1,205ドル(JWFファンド1,000ドル、団体205ドル)
【実施地の課題】
対象のKake村には水道がなく、女性や子どもたちは村から900M離れたため池まで40分以上かけて水を汲みに行っている。子どもたちは水汲みのために学校に通うことができず、人々は汚れた水に起因する病気の治療にお金を費やす。この水源は水汲み場として整備されていないため、周辺は衛生的な環境ではなく、動物もこの池の水を飲んでおり、汚染されている。
【主な活動】
– 湧水保護設備の建設と周辺の整備
– COVID-19対策に関する啓発活動
– 完成した設備利用に関する説明会
– 湧水保護設備の維持管理に関するトレーニング
– 維持管理及び基金管理委員会の設立
– 水質検査の実施 等
【期待される成果】
飲み水の水源改善による、住民の生活環境の向上
【活動予定地の現在の様子】
住民が水源として利用しているため池 | 申請団体のWASHマネージャーによる調査 |
2.Kisega村の湧水保護設備の建設による、飲み水の水源改善(ウガンダ)
【活動概要】
・実施団体:Multipurpose Training and Community Empowerment Association(#056)
・活動名(原文):Increasing access to safe and clean water, hygiene and sanitation through protection of spring well
・実施国・地域:ウガンダ・Namutumba県
・実施期間:2020年10月~2021年2月
・受益者数:1,674人(小学校生徒674人、地域住民 1,000人)
・費用:1,644.7ドル(JWFファンド946.14ドル、団体101.73ドル、受益者404.69ドル、その他団体191.51ドル)
【実施地の課題】
対象のSt Peter Kisega小学校の生徒たちとKisega村の住民たちは、小学校から200M離れた場所にある管理されていないため池から水を汲んでいる。動物たちもこの池の水を飲んでおり、安全でなく汚染されている。このため、生徒や住民たちは腸チフスやトラコーマ、下痢症にかかり、学校を中退する生徒もいる。また、ため池に誤って転落する生徒もいる。
【主な活動】
– 湧水保護設備の建設
– 水と衛生に関する啓発活動(2回)
– COVID-19対策の啓発活動
– 水利用委員会の設立
– 水利用委員会メンバーへの維持管理トレーニング
– 水質検査 等
【期待される成果】
飲み水の水源改善による、村と学校の生活環境向上
【活動予定地の現在の様子】
ため池から水を汲む生徒 |
ため池から水を汲む女性 |
3.Thapathaliスラムの手洗い器の設置による、衛生環境の改善(ネパール)
【活動概要】
・実施団体:‘We’ for Change(#181)
・活動名(原文):पानी पधेरो (Pani Padhero: 英訳 Water Station)
・実施国・地域:ネパール・Kathmandu 郡
・実施期間:2020年10月~2021年2月
・受益者数:650人
・費用:1,170ドル(JWFファンド1,000ドル、団体110ドル、スラム組合60ドル)
【実施地の課題】
申請団体の調査によると、対象のThapathaliスラムの衛生環境は不十分で、住民たちはコレラや赤痢といった病気にさらされている。彼らは水と衛生に関する知識と水が不足しているため、手洗いを習慣化できていない。
【主な活動】
– タッチフリーの手洗い器2基の設置
– WASH(水と衛生)に関する啓発活動(2回) 等
【期待される成果】
衛生環境の改善による、住民の生活環境向上
【活動予定地の現在の様子】
Thapathaliスラムの様子 | 手洗い器の設置予定場所 |
4.Sparly Dehri 村の地域共有VIPトイレの建設による、衛生環境の改善(パキスタン)
【活動概要】
・実施団体:Shama Social Village Development Organization(#346)
・活動名(原文):Improvement of “Sanitation facilities” in Village
Sparly dehri – Pakistan
・実施国・地域:パキスタン・Charsadda県
・実施期間:2020年10月~2021年2月
・受益者数:200人
・費用:1,848ドル(JWFファンド1,000ドル、団体525.3ドル、受益者322.7ドル)
【実施地の課題】
対象のSparly Dehri 村では衛生に関する設備と教育が不足している。各家庭には囲いのあるスペースがあり、そこで排泄や洗濯をしている。犬やアヒルなどが糞便を餌としている。申請団体が2018年~2019年に実施した調査では、村の約6割は適切な衛生設備がなく野外排泄をしている。糞便汚染による水源の汚染が深刻となっており、下痢症やマラリアなどの病気が発生している。
【主な活動】
– 地域共有のダブルVIP(換気改良式)トイレ5基の建設
– 衛生習慣についての啓発活動(2回)
– 野外排泄場所の清掃
– 維持管理委員会の設立
– 維持管理に関するトレーニング 等
【期待される成果】
衛生環境の改善による、住民の生活環境の向上
【活動予定地の現在の様子】
住民がトイレとして使うスペース |
目隠しの布をかける世帯もある |
5.Kiberaスラムの給水所の設置による、給水環境の改善(ケニア)
【活動概要】
・実施団体:Women Promotion Centre (WPC)(#256)
・活動名(原文):Establishment of Community-owned water “Kiosk” in Kibera slum
・実施国・地域:ケニア・Nairobiカウンティ
・実施期間:2020年10月~2021年2月
・受益者数:1,000人
・費用:1,850ドル(JWFファンド1,000ドル、団体450ドル、受益者400ドル)
【実施地の課題】
対象のKiberaスラムの女性や子どもたちは、近隣の水源が汚染されているため、水販売業者から水を購入しているが、遠くまで歩き、行列に並ぶ。彼らは、水を得る道中で男性からの暴行を受ける、帰宅が遅くなると家庭での暴力にあうなどの被害が出ている。水は高額で家計の約2割を占めるが安全な水である保証はない。頻繁な腸疾患による治療費の負担増で、貧困状態から抜け出すことが難しい。
【主な活動】
– 地域共有の給水所(水キオスク)の建設
– 地域のWASH促進委員20名のトレーニング
– 維持管理員会の設立 等
【期待される成果】
給水環境の改善による、女性や子どもを取り巻く環境の向上
【活動予定地の現在の様子】
Kiberaスラムの汚染された水源 |
水汲みの順番を待つ子どもたち |
6.Batapiyasa kanda地域共有の貯水タンクの設置による、給水環境の改善(スリランカ)
【活動概要】
・実施団体:Human-Environment Links Progressive Organization (HELP-O)(#064)
・活動名(原文):Innovative approach to manage shattered water supply from a natural spring to distribute the water to the settlements nearby
・実施国・地域:スリランカ・Galle県
・実施期間:2020年10月~2021年2月
・受益者数:600人
・費用:1,376ドル(JWFファンド976ドル、団体150ドル、受益者100ドル、その他150ドル)
【実施地の課題】
Batapiyasa kanda地域では安全な水が不足している。遠くにある水源は汚染されている。貧しさから日々必要な水を買う余裕もなく、脱水症で亡くなったり、病院に居る時間のほうが家より長い住民もいる。病気などにかかりやすく、貧困から抜け出すことが難しい。
【主な活動】
– 貯水タンクの設置
– 主配管の敷設
– 設備の使い方に関する講習会
– 基本的な修理のトレーニング
– 水質検査 等
【期待される成果】
給水環境の改善による、住民の生活環境向上
【活動予定地の現在の様子】
新しく使用予定の水源 |
水源までの険しい道 |
7.Mitumeスラムの公立小学校4校の雨水貯留タンクの設置による、給水環境の改善(ケニア)
【活動概要】
・実施団体:Elite Community Development Empowerment Programme (ECODEP)(#180)
・活動名(原文):Mitume slum schools hygienic Program
・実施国・地域:ケニア・Trans Nzoiaカウンティ
・実施期間:2020年10月~2021年2月
・受益者数:3,191人(女性教師49人、男性教師20人、児童3,191 人)
・費用:1,629ドル(JWFファンド975ドル、団体280ドル、受益者374ドル)
【実施地の課題】
対象地域の学校の多くは給水設備、トイレや手洗い場がない、または不十分である。学校では汚れた水を使っているため、下痢症などの病気が発生している。学校への政府からの資金は十分でなく、毎年増える生徒数に対して十分な設備を拡充できていない。また、子どもたちはトイレの後に手を洗う習慣がない。
【主な活動】
– 小学校4校への雨水貯留タンク、雨水集水設備と手洗い設備の設置
– 各学校教員への衛生と病気に関するトレーニング
– 生徒への衛生に関する授業 等
【期待される成果】
給水環境の改善による、学校環境の向上
【活動予定地の現在の様子】
対象となる学校の校舎 | 既存トイレには手洗い場がない |
JWFファンド2020 募集概要
公募期間:2020年6月22日(月)~7月21日(火)
応募件数:347件、35カ国
支援件数:7件、6カ国(カメルーン1件、ウガンダ1件、ケニア2件、ネパール1件、パキスタン1件、スリランカ1件)
支援する活動は、公募に対し応募のあった347件からJWF職員が選考し決定しました。
▼JWFファンドの詳細はこちら▼
https://www.waterforum.jp/jp/what_we_do/grass_roots_projects/jwf
(報告者:ディレクター浅井重範、副マネージャー郡司晃江)