日本水フォーラム(JWF)と「NoWNET」は、ストックホルム世界水週間アットホーム(World Water Week At Home)にて、「気候変動下の洪水管理に対処していくための自然を基盤とした解決策」と題してウェビナーを開催しました。
ウェビナー名 | 気候変動下の洪水管理に対処していくための自然を基盤とした解決策 |
開催日時 | 2020年8月27日(木) 日本時間17時~17時45分 |
ウェビナー動画 |
本ウェビナーは、気候変動の影響による河川洪水や都市洪水リスクに対処していくため、NoWNETメンバー機関(オランダ、スウェーデン、デンマーク、日本、韓国)が、これまで実践してきた、自然を生かした解決策(NBS; Nature-based Solution)を通じて得られた教訓を共有するとともに、将来想定される課題を克服していくための施策について議論しました。
また、NBSを推進していくために、NBSにおけるコ・ベネフィット(相乗効果)の創出、経済・社会的ベネフィットをはじめとする多様な便益の算出方法、多様な利害関係者とのコミュニケーション方法、激甚災害が頻発している場所におけるNBSの導入方法、上流と下流等のトレード・オフへの対処に関して、定量分析結果を紹介しつつ、既存の取り組みの改善策を提案しました。
一方で、NBSは広大な土地・空間を必要とすることが多いため、事例の発表後に行われたパネルディスカッションにおいては、都市のように密集した環境においてどのようにNBSを展開していくべきかについて議論を行いました。
結論として、特定地域においてうまくいったNBSの効果について、背景状況や効果の時間的推移について注意深く吟味し、置かれた状況における適切なNBS施策の検討・実施の必要性が確認されました。また、キーポイントは、NBSの社会・経済的価値、及び、生態系価値の適切な価格付け(モノ・サービス)であり、関連する定量分析結果を、多様なステークホルダーとの対話時や意思決定が必要な時にいかに適切に提示し、必要なコミュニケーションを行うことができるか、であることが強調されました。さらに、NBSの実施により、誰もが便益が得られるような計画を行うこと、そして、土地の所有者や下流域住民など、何らかの負の影響が及ぶ方々に対して適切な補償・支援を行うことの必要性が強調されました。
今後は、本ウェビナーのフォローアップとして、日本水フォーラムとNoWNETメンバー機関は、都市をはじめ、密集した環境におけるNBSの導入事例について、失敗事例も含めて収集していくこととしています。
おわりに
本ウェビナーには、259名が登録し、158名が聴講されました。NBSに関する関心の高さがわかりました。
また、当日は、聴講者から多くの質問があり、セッション時間中に答えられなかったものは、後日個別に返答しました。聴講者を含め関係者全ての人に感謝いたします。
▼プレゼンテーション資料は下記よりご覧いただけます▼
https://www.worldwaterweek.org/event/9170-co-benefits-of-implementing-nbs-for-climate-related-water-and-flood-management
▼ウェビナーの開催報告書詳細版(英語)は、下記よりご覧いただけます▼
https://www.waterforum.jp/wp/wp-content/uploads/2020/09/WWWeek-at-Home_NoWNET_NBS-report.pdf
NoWNET とは NoWNETは、先進国9カ国(フランス、オランダ、スイス、デンマーク、スウェーデン、フィンランド、ポルトガル、韓国、日本)の水パートナーシップ機関(NPO)と、国際的な水の議論をけん引する2つの機関(世界水会議(WWC)、世界水パートナーシップ(GWP))で構成されているナレッジ・ネットワークです。2003年に日本で世界水フォーラムが開催された際、WWCとGWP、第3回世界水フォーラム組織委員会によりNoWNETが設立されて以来、日本水フォーラムが事務局を務めています。 *NoWNET構成メンバー |
(報告者:マネージャー 朝山由美子)