2007(平成19)年3月、ダルビッシュ有投手(現MLB シカゴ・カブス所属)は、日本水フォーラムと協力して、水不足や水の汚染などに苦しむ発展途上国の人々に安全な水を提供することを目的に、「ダルビッシュ 有 水基金」を設立しました。ダルビッシュ有投手は、公式試合で勝利投手となるごとに、同基金に10万円を寄付することを続けています。この基金を用いて、これまで11カ国で計13件のプロジェクトを実施してきました。
第14号プロジェクト概要配水設備が老朽化し漏水が頻繁に発生していた状況下で、COVID-19感染拡大に見舞われた地域で実施します。地元自治体の水道事業の限界を、COVID-19を契機に、マルチセクター連携で突破しようとするプロジェクトです。事業の成果として地域の各世帯への給水状況を改善し、感染予防対策となる衛生習慣の普及が期待されます。 |
1.プロジェクト名
コロナ禍に見舞われたコミュニティの給水・衛生改善事業
2.実施地
パキスタン ハイバル・パフトゥンハー州マルダン県
Takht Bhai郡Daman e Koh地域(Ghar Kalay、Pirano Dag地区)
パキスタンの位置 | ハイバル・パフトゥンハー州の位置 |
3.実施期間
2020年11月~2021年5月
4.現地実施団体
Integrated Regional Support Program (IRSP)
www.irsp.org.pk
5.実施地の水問題
- 事業地では、過去に簡易な水道が敷設されたが、設備が老朽化。各所で漏水等が発生しており、各世帯に十分な水が届いていない。また、手洗い等の習慣がほとんどない。
- こうした状況下でCOVID-19の感染が拡大。
- これまで、配水設備の応急的な修理でしのいできたが、COVID-19感染拡大により財政難に陥った地元自治体の対応能力は限界に達し、設備の老朽化、漏水等の問題が進行している。
- そのため、COVID-19を始めとする感染症等に対して非常に脆弱な地域となっている。
実施地の様子
老朽化した給水設備の応急処理を行う間、 離れた共同水栓まで水を汲みに行く住民たち |
6.プロジェクト実施内容
- 地域の自主組織を立ち上げ、地元自治体と連携しながら、管理の不十分な水道設備を修理・改良
– 水圧・流量等を制御するバルブの交換(4カ所)
– 必要な電圧を安定的に出力するための電圧調整器の設置(2カ所) - 手洗い設備を設置し衛生教育を開始
– 公共の手洗い設備の設置(2カ所)
– 衛生教育(衛生管理、水の大切さ、水道設備の役割に関する講習)(計60回) - 将来の維持管理のための地域コミュニティを形成
7.受益者数
600世帯以上(Ghar Kalay及びPirano Dag地区)
8.期待される成果
- 各世帯(600世帯以上)が十分な量の安全な水を自宅で手に入れることができる
- COVID-19などの感染予防対策となる手洗い等の衛生習慣の普及
→受益者の健康状態の改善、衛生状態に起因する病気(下痢、皮膚病)の削減と医療費支出の節約等 - 住民の生活改善、地域コミュニティの形成・強化
◇ このプロジェクトは、持続可能な開発目標(SDGs)*の達成に貢献します ◇
SDGsに関するアウトカムイメージ |
*2015年の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載されている
2016年から2030年までの国際目標 ⇒ 関連するSDGs
▼ダルビッシュ 有 水基金の過去のプロジェクト、参加方法についてはこちら▼
https://www.waterforum.jp/jp/what_we_do/grass_roots_projects/darvish
【お問い合わせ先】
特定非営利活動法人 日本水フォーラム
TEL 03-5645-8040 FAX:03-5645-8041
office[at]waterforum.jp([at]を@に代えて送信してください)
(報告者:ディレクター 浅井重範、アシスタントマネージャー 田畑美世)