ダルビッシュ 有 水基金 第14号プロジェクト(パキスタン)を完了しました!

 2007(平成19)年3月、ダルビッシュ有投手(現MLB サンディエゴ・パドレス所属)は、日本水フォーラムと協力して、水不足や水の汚染などに苦しむ発展途上国の人々に安全な水を提供することを目的に、「ダルビッシュ 有 水基金」を設立しました。ダルビッシュ有投手は、公式試合で勝利投手となるごとに、同基金に10万円を寄付することを続けています。
 この基金を用いて、これまで11カ国で計14件のプロジェクトを実施してきました。

第14号プロジェクト コロナ禍に見舞われたコミュニティの給水・衛生改善事業

第14号プロジェクト概要

 配水設備が老朽化し漏水が頻繁に発生していた状況下で、COVID-19感染拡大に見舞われた地域でプロジェクトを実施しました。地元自治体の水道事業の限界を、COVID-19を契機に、マルチセクター連携で突破したプロジェクトです。事業の成果として、地域の各世帯への給水状況が改善され、感染予防対策となる衛生習慣の普及に貢献しました。

プロジェクト後の様子

設置された手洗い設備と住民たち
1.実施地

パキスタン ハイバル・パフトゥンハー州 マルダン県 タフティ・バイ郡

パキスタン

ハイバル・パフトゥンハー州
2. 受益者数

2,250世帯(12,144人)(Ghar Kalay地区、Pirano Dag地区)

3.実施期間

 2020年11月~2021年5月

4. 現地団体

現地実施団体:IRSP
ウェブサイト: www.irsp.org.pk

5.実施地の水問題
  • 事業地では、過去に簡易な水道が敷設されたが、設備が老朽化。各所で漏水等が発生しており、各世帯に十分な水が届いていない。また、手洗い等の習慣がほとんどない。
  • こうした状況下でCOVID-19の感染が拡大。
  • これまで、配水設備の応急的な修理でしのいできたが、COVID-19感染拡大により財政難に陥った地元自治体の対応能力は限界に達し、設備の老朽化、漏水等の問題が進行している。
  • そのため、COVID-19を始めとする感染症等に対して非常に脆弱な地域となっている。
6.プロジェクト概要

 地元自治体やプロジェクト実施地の住民と連携し、水道設備の修繕、手洗い設備の設置、衛生促進講習等の実施項目は、おおむねスケジュール通りに完了しました。
 プロジェクト完了後、修繕した水道設備は自治体に引き渡され、自治体が水道設備の維持管理を、地区水管理委員会が手洗い設備の維持管理をそれぞれ行う予定です。また、水道の違法配管接続の削減とそれに伴う水道料金回収率改善に向けて、地区水管理委員会が役割を果たしていくことが期待されています。すでに、違法配管接続をしていた11世帯がプロジェクト実施中に特定され、これらの世帯は水道料金を支払うようになりました。
 (右の写真は、IRSPから自治体への引き渡し証明書)

実施項目

  • 地域の自主組織(地区水管理委員会)を立ち上げ、地元自治体と連携しながら、管理の不十分な水道設備を修理・改良
    • 水圧・流量等を制御するバルブの交換(4カ所)
    • 必要な電圧を安定的に出力するための電圧調整器の設置(2カ所)
  • 手洗い設備を設置し衛生教育を開始
    • 公共の手洗い設備の設置(2カ所)
    • 衛生教育(衛生管理、水の大切さ、水道設備の役割に関する講習)(計78回)
  • 将来の維持管理のための地域コミュニティを形成
7.成果
  • 各世帯が十分な量の安全な水を自宅で手に入れることができるようになった
  • COVID-19などの感染予防対策となる手洗い等の衛生習慣の普及
    • 受益者の健康状態の改善
    • 衛生状態に起因する病気(下痢、皮膚病)の削減と医療費支出の節約等
  • 住民の生活改善、地域コミュニティの形成・強化

◇ このプロジェクトは、持続可能な開発目標(SDGs)*の達成に貢献します ◇

SDGsに関するアウトカムイメージ
*2015年の国連サミットで採択された
「持続可能な開発のための2030アジェンダ」
に記載されている2016年から2030年までの国際目標
⇒ 関連するSDGs

8.受益者からの声

男性受益者
(20代、地区水管理委員会メンバー、町で店を営んでいる)
自分の店の近くに設置された手洗い設備に、責任をもって石鹸を供給しています。近くに床屋や市場があり、住民たちはそれらを訪れた後、この手洗い設備で手や顔を洗っています。この設備は蛇口に触ることなく、ペダルを使って水を出すことができ、私も住民も非常に感謝しています。

男性受益者
(50代、手洗い設備を設置した小学校の校長先生)
このコロナ禍において、石鹸で手を洗うことは非常に重要です。これまで、石鹸での手洗いについて人々は話題にはするものの、実際には全員が行っているわけではありませんでした。石鹸がある手洗い設備を支援してもらったことで、教師も生徒も定期的に石鹸で手を洗うことができるようになりました。今後、この設備の維持管理を行っていきます。

プロジェクト前の様子

老朽化したバルブ

給水設備の応急処理を行う間、
離れた共同水栓まで水を汲みに行く住民

プロジェクト中の様子

プロジェクト開始時の地域住民とのミーティング
電圧調整器の設置
バルブの交換

衛生講習の様子

ダルビッシュ有投手をはじめ、当基金へご寄付いただいた皆さま、現地パートナー団体、対象地域の住民等、多くの皆さまのご支援とご協力によりプロジェクトを実施することができました。心より感謝申し上げます。

▼ダルビッシュ 有 水基金や過去に実施したプロジェクト、参加方法についてはこちら▼
https://www.waterforum.jp/what-we-do/darvish/

(報告者:ディレクター 浅井重範、アシスタントマネージャー 田畑美世)

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