水の危機はガバナンスの危機でもあるため、効果的な水ガバナンスに取り組むことは、アジア太平洋地域における最優先事項の一つです。ストックホルム世界水週間2021オンライン3日目に開催した本セッションでは、アジア太平洋地域の水ガバナンス分野に携わる主要アクターがスピーカーとして集まり、3部構成のセッションを開催しました。
Asia Focus: Accelerating inclusive water governance to advance sustainable development
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セッション開催結果概要
第1部では、あらゆる視点から、アジア太平洋地域の水ガバナンスの現況及び水ガバナンス課題を検証し、持続可能で包摂的な開発を促進するために必要な水ガバナンスの構築に向けた提言を発信しました。アジア開発銀行(ADB)が、アジア水開発展望(AWDO)2020の分析結果を、経済開発協力機構(OECD)が、アジア太平洋地域の水ガバナンスの分析結果を紹介しました。ウォーターインテグリティネットワーク(WIN)は、世界とアジア太平洋地域の水インテグリティ分析結果を紹介しました。GWPは、アジア太平洋地域におけるSDG6.5.1(IWRM)の2020年進捗評価分析結果を共有しました。
第2部では、アジア太平洋地域において、国や地方レベルで水の安全保障を強化し、2030年までに、水関連SDG目標を達成していくために必要で重要となる水ガバナンスの教訓や革新的なアプローチを具体事例を紹介しながら議論を行いました。各パネリストは、まず3分間のビデオプレゼンテーションを通じて、各々が取り組んでいる水ガバナンスプログラムの先進事例を紹介しました。その後、ライブで、パネルディスカッションを展開し、2030年のSDGs達成に向けて、水ガバナンスの実施に関するグッドプラクティスをどのように実装をしていくか、教訓、課題、展望について議論しました。
第2部において、日本の機関からは、国際協力機構(JICA)の災害管理と水資源管理に関する専門家の石渡幹夫氏が、歴史と経験から得られた水ガバナンスに関する日本の教訓を紹介しました。また、水災害・リスクマネジメントセンター(ICHARM)の池田鉄哉特別研究監は、協働的プラットフォームを通じた組織レベルでのガバナンスの向上と専門研修を通じた個人レベルでの能力向上の重要性を強調しました。
さらに、IUCNアジアのRaphael Glemet 氏(ビデオプレゼンテーション)及びVishwa Ranjan Sinha氏(パネルディスカッション)が、水リスクに対処するための自然を基盤とした解決策の適用、OECDのOriana Romano氏が、水関連政策のモニタリング、水利用者間のトレードオフを管理するための水政策手段、整合性と透明性の実践、組織の分断と政策のサイロ化の課題に取り組むための事例等を紹介しました。
第3部では、GWP東南アジアリージョナルコーディネータ―のFany Wedahuditama氏が、水ガバナンス分野に携わる多様な機関間の具体的な共同行動に向けたコミットメント(多様な利害関係者間の協働による水の安全保障に関するオープンプログラム)に着手することを発表し、アジア太平洋地域の水ガバナンスの向上に携わっている機関に対して、参加を呼びかけました。
アジアフォーカス・ガバナンスセッションの総括として、次の主要アクション提案を行いました。
アジアフォーカス水ガバナンスセッションからの主要アクション提案 Action #1- Governance and monitoring of policies (which include data)
Action #2- Finance and investment (資金と投資): Action #3- Capacity building through collaboration platforms and multi-stakeholder processes
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プログラム
開会の辞 |
セッション1: Position and status of water governance for Asia Pacific countries to address issues on regional water governance
セッション2: Learning exchange sharing and discussion on concrete case studies in water governance (3分間のビデオプレゼンテーション)
全体パネルディスカッション (ライブ)
セッション3: Joint actions and solutions for water governance to accelerate the achievement of the SDGs through enhanced water governance 閉会の辞: 本セッションのサマリー及び主要アクションの提案 |
(報告者:マネージャー 朝山由美子)