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【JWF News Vol. 206】2021年12月15⽇発⾏
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◇⽬次◇
・巻頭言【特別寄稿】 水俣病から学ぶ大事なこと
・日本水フォーラムからのお知らせ
- ユース水フォーラム・九州 応募動画公開のお知らせ
- 第4回アジア・太平洋水サミット
サイドイベント(一般公開セミナー・シンポジウム)、関連イベント公募のご案内
公式サイドイベント(現地展示会)の公募を開始しました!
・日本水フォーラムからの報告
- 第12回APWFウェビナー開催結果概要報告
- 第5回JWFウェビナーの開催報告
- INCHEM TOKYO 2021 セミナー「『その先』の未来へ-水から始めるイノベーション」を開催しました
- ユース水フォーラムくまもと 活動ご報告・ご案内
・活動へのご⽀援・ご協⼒のお願い
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・巻頭言【特別寄稿】 水俣病から学ぶ大事なこと
日本水フォーラム評議員 岡久 宏史(公益社団法人 日本下水道協会 理事長)
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最近、水俣病の存在を世界に伝えた写真家ユージン・スミスの写真集「MINAMATA」を題材に描いた映画が上映され、世界中の多くの人々が、久しぶりに「水俣病」という言葉を聞くことになったのではないかと思います。
水俣病は、1960年代の我が国の高度経済成長期に発生した4大公害病の一つで、人類が決して忘れてはならない悲惨な出来事です。
そして、この水俣病から学ぶこと、学ばなければいけないことが沢山あります。特に、環境問題にかかわる人々は、水俣病から多くの大事な教訓を学び取ることができます。
さて、水俣病とは、熊本県にある水俣湾周辺の村落で発生した病です。
水俣湾では、1941年頃から魚が死んで腐臭が漂うようになり、1953年には、水俣湾周辺で、猫が狂ったように走り回って死んだり(「ネコ踊り病」と呼ばれました)、カラスなどの鳥が突然地面に落ちるなど奇妙で不気味な現象がみられるようになりました。異常事態はついに住民にも及び、1953年末には、麻痺やけいれん、手足の感覚障害、視野狭窄などを訴える住民が現れます。
この病は、原因がわからなかったため、奇病とされ、また、伝染病や遺伝といった根も葉もない噂が広まり、罹患した人たちが差別を受ける状況もみられました。
ようやく1956年5月になって「水俣病」として公式に認められます。しかし、政府がその原因と発生源を認めるのは、12年後の1968年でした。この間、有効な対策が取られなかったことにより水俣病の被害が拡大してしまいます。
水俣病を引き起こした原因物質は、新日本窒素肥料(株)(現在のチッソ(株))水俣工場からの排水に含まれていたメチル水銀化合物でした。メチル水銀化合物が蓄積した水俣湾の魚などを食べて発病したのです。当時、この工場からの排水に疑念の目は向けられていましたが、確証が得られないとしてなかなか対策は取られませんでした。
当時の政府等における対応の経緯をほんの一部だけ記載しますと、水俣病が公式に認められた翌年の1957年に、熊本県が水俣湾での漁獲を禁止しようとしますが、厚生省はこれを認めませんでした。1958年に、厚生省が汚染源を水俣工場と特定しますが、当該工場が否定します。1959年には、熊本大学が原因物質を突き止めますが、通産省は、結論は早計としてこの事実を受け入れませんでした。
また、この工場の附属病院の医師が猫を使った動物実験で、原因は工場の排水であると突き止めたのにもかかわらず、その結果を公表しなかったということもありました。
水俣病に対する当時の対応は、後世の私たちに重要な教訓を残しました。それは、「環境汚染から人命や自然を守るには、原因が明白になってからの対応では遅すぎる」ということです。疑わしき環境汚染に対しては、被害の因果関係が科学的に証明されていなくても先手を打って予防のための対策を実行する英断が必要です。
この教訓は、「予防原則」と呼ばれ、国連環境開発会議「環境と開発に関するリオ宣言(1992年6月)」で第15原則として謳われています。
「水」をはじめとする様々な環境の保全に携わる人たちには、この教訓を常に心に留めてほしいと願っています。
(参考)「環境と開発に関するリオ宣言」第15原則
「環境を保護するため、予防的方策は、各国により、その能力に応じて広く適用されなければならない。深刻な、あるいは不可逆的な被害のおそれがある場合には、完全な科学的確実性の欠如が、環境悪化を防止するための費用対効果の大きい対策を延期する理由として使われてはならない」
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・⽇本⽔フォーラムからのお知らせ
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– ユース水フォーラム・九州 応募動画公開のお知らせ
ユース水フォーラム・九州 応募動画を公開しましたので、ご案内申し上げます。
2021年3月22日に「ユース水フォーラム・九州」(以下、YWFQ)を発足させ、高等学校生世代を対象に、水に関連する活動を実践したり、水にまつわる社会的課題を学んだりした成果をまとめた動画(英語)で参加して頂くことで、将来、水関連分野を中心とした活躍できる国際人材となってもらうことを目指しています。また、2022年度から新たに必修科目となる「地理総合」の、学習の一助となることも目指しています。第9回世界水フォーラムや第4回アジア・太平洋水サミットでは、日本と海外の高校生世代が交流できる機会の一つとして、優秀動画の上映・発信を予定しています。
2022年6月16日から動画の募集を行っており、現在20件以上の応募動画を頂いております。大変多くの素敵な動画を応募頂くことができました。
▼詳しくはこちら▼
https://www.waterforum.jp/news/18892/
(報告者:マネージャー 福田裕子)
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– 第4回アジア・太平洋水サミット サイドイベント(一般公開セミナー・シンポジウム)、関連イベント公募のご案内
◆サイドイベント(一般公開セミナー・シンポジウム)公募について
令和4年(2022年)4月23日、24日に熊本市で開催します「第4回アジア・太平洋水サミット」(4th APWS)において、会期中に、水に関する意識啓発などを広く情報発信することを目的とした、一般の方に公開する公式サイドイベントを主催する団体を募集します。
※新型コロナウイルス感染症の状況により海外参加者が会場参加できなくなること、さらに国内参加者の会場参加者数が減少する可能性がありますが、この場合でもオンラインを併用したハイブリッド方式として実施する予定です。
応募締切: 2022年1月31日(月)正午(日本時間)
◆関連イベント公募について
4th APWSの開催日の前後などに、別の会場で、水に関する意識啓発などを広く情報発信することを目的としたイベントを主催する団体を募集し、関連イベントとして認定します。
応募締切: 2022年3月23日(水)正午(日本時間)
▼詳しくはこちら▼
https://www.waterforum.jp/news/18905/
(報告者:マネージャー 福田裕子)
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– 第4回アジア・太平洋水サミット 公式サイドイベント(現地展示会)の公募を開始しました!
2022年4月23日、24日に熊本市で開催する、第4回アジア・太平洋水サミットにおいて、サミット期間中に現地展示会を実施します。(この水サミットは、アジア・太平洋水フォーラムと熊本市の共同主催です。)
熊本市では、水や自然環境に関する機器・システム・サービスなどを製造又は取り扱う企業、国際機関、大学、自治体、市民団体等の出展者を募集しています。
この機会にぜひご応募いただき、水や自然環境への取組を、水サミットの場で発表・紹介してみませんか。
<ご応募締切>
2022年2月14日(月)正午 ※申込書一式必着のこと
▼詳しくはこちら▼
https://www.waterforum.jp/news/18896/
(報告者:マネージャー 福田裕子)
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・⽇本⽔フォーラムからの報告
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– 第12回APWFウェビナー開催結果概要報告
アジア・太平洋水フォーラム(APWF) は、第4回アジア・太平洋水サミット(4thAPWS)開催までの間、アジア太平洋地域48カ国の政府職員、大使館職員及び日本政府の職員などを対象に、水分野の知見の幅を広げ、深化させることを目的としてAPWFウェビナーを開催しています。
第12回APWFウェビナーは、11月11日(木)に、国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)環境・開発部持続可能な都市開発課長カート・ギャリガン氏、同じく、環境・開発部、環境対策担当職員ソレーヌ・ル・ドーズ氏を講師として、「新型コロナウイルス感染症禍におけるアジア太平洋地域のSDG6進捗の促進」に関する議論を行いました。
▼詳しくはこちら▼
https://www.waterforum.jp/news/18878/
(報告者:マネージャー 朝山由美子)
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– 第5回JWFウェビナーの開催報告
11月24日(水)に第5回JWFウェビナーが開催され、ナイジェリア、フィリピンを筆頭に、南アフリカなど国内外13カ国93名の方々のご参加がありました。市域を超えた官民協働による地下水保全の取組をテーマとして、熊本市環境局環境推進部首席審議員兼水保全課長の永田努様にご講演をいただきました。
ご講演の中で永田様からは、熊本市は市民約74万人の水道水源をすべて地下水でまかなっていること、その地下水をどのように管理しているか実例を示し、ビデオによる解説を交えて詳しく説明していただきました。また、熊本市が震災からいかに復興してきたかについても説明がありました。
▼詳しくはこちら▼
https://www.waterforum.jp/news/18901/
(報告者:マネージャー 吉井麗子)
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– INCHEM TOKYO 2021 セミナー「『その先』の未来へ-水から始めるイノベーション」を開催しました
法人化学工学会と一般社団法人日本能率協会が主催する「INCHEM TOKYO 2021」が、東京ビッグサイトにて開催されました。日本水フォーラムは、17日(水)にセミナー「『その先』の未来へ―水から始めるイノベーション」を開催いたしました。
持続可能な社会の実現には、日本が伝統的に培ってきた技術や教訓を再認識し、次世代へ継承していくことが重要です。その参考事例の1つとして、資源循環やSDGs達成に貢献する取り組みを皆様にご紹介するという、このセミナーのねらいについてご説明しました。
▼詳しくはこちら▼
https://www.waterforum.jp/news/18871/
(報告者:アシスタント・マネージャー 田畑美世)
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– ユース水フォーラムくまもと 活動ご報告・ご案内
ユース水フォーラムくまもとは、ユース水フォーラム・九州と連携しながら、熊本の水文化を世界に発信する高校生をサポートするために、2021年3月に結成された組織です。代表を熊本大学熊本創生推進機構田中尚人准教授が勤め、結成から今までに主に3つの活動を行いましたので、ご報告いたします。
▼詳しくはこちら▼
https://www.waterforum.jp/news/18784/
(報告者:マネージャー 福田裕子)
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・活動へのご⽀援・ご協⼒のお願い
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⼤胆な発想と⾏動⼒で地球上の⽔問題解決を⽬指す⽇本⽔フォーラムを応援してください。
⽇本⽔フォーラムは、認定NPO法⼈です。⽇本⽔フォーラムへの「ご寄付」と「賛助会員の会費」は、税制優遇の対象となります。
▼税制優遇の内容はこちら▼
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「第4回アジア・太平洋⽔サミット(4th APWS)」
開催⽇程︓令和4(2022)年4⽉23⽇(⼟)〜24⽇(⽇)
4th APWSを円滑に開催できるよう、ご寄付・ご⽀援をどうぞよろしくお願い申し上げます。
▼寄付の詳細はこちら▼
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※掲⽰板への掲載希望、新規配信希望、配信停⽌・変更などは、下記アドレスまで
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JWF News Vol. 206 令和3年12⽉15⽇発⾏
特定⾮営利活動法⼈⽇本⽔フォーラム(認定NPO法⼈)
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現在、新型コロナウイルス感染拡⼤の防⽌対策として、テレワークを実施しています。
皆様の安全とご健康を祈念申し上げます。
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このコンテンツは、公益財団法人 河川財団の河川基金の助成を受けています。