ファンドにより学校に新しくできたトイレの前で記念撮影する |
JWFファンドは、日本水フォーラム会員の皆様からの会費や一般の皆様からの寄付等を活用し、途上国において草の根レベルで水問題の解決に取り組んでいる団体に対し支援を行うもので、2005年の開始から本年で11年目となります。
本年は、以下のとおり公募を行い、持続可能性、妥当性、効果等の観点から審査を行いました。
・公募期間:平成27年7月8日~8月7日(32日間)
・対象国:経済協力開発機構(OECD)の「THE DAC LIST OF ODA RECIPIENTS Effective for reporting on 2012 and 2013 flows」におけるLeast Developed Countries、Other Low-income Countries、Lower Middle-income Countries/Territories、 94カ国
・応募件数:41件 12カ国
・支援件数:6件 5カ国 (バングラデシュ1件、パキスタン1件、トーゴ1件、タンザニア1件、ウガンダ2件)
JWFファンド2015 報告書(日本語)(PDF)
JWFファンド2015 報告書(英語)(PDF)
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JWFファンド 2015の支援先
1. #006 ダッカのスラム地域における雨水管理によるWASHの改善
・実施団体: Bashaboo Friends Association (BFA)
・プロジェクト名:Improving WASH through Implementation of Rain Water Management in Slum Area of Dhaka
・実施国・地域:バングラデシュ、ダッカ、東バシャブノ、ラジャバーグ
・実施期間:2015年12月~2016年5月
・直接及び間接受益者数:1,600人
・費用:1,093.78 USD(JWFファンド1,000ドル、自己資金78ドル)
課題
対象スラム地域の上下水道の普及率はわずか40%であり、ほとんどの人が安全な水と衛生にアクセスできていない。住民たちの野外排泄などにより、水源は汚染され、下痢症やコレラ、肺炎といった様々な水関連の病気の原因となっている。
活動成果
・雨水貯留タンクを10基設置
・地域共有の雨水貯留タンクを2基設置
・53人が各家庭の雨水貯留タンクを利用できるようになった
・130世帯が地域共有の雨水貯留タンクを利用できるようになった
・10回のWASHと衛生促進の野外集会に計513名が参加した
・112名が2基の共用トイレを利用できるようになった
改修前のトイレ | 改修後のトイレ |
2. #007 ヨーコフェ地域での井戸・衛生施設の建設と衛生啓発活動
・実施団体: Charite Chretienne pour Personnes en Detresse (CCPD)
・プロジェクト名:Construction of 1 open well, 1 ECOSAN toilet and 1 hand washing facility, and holding 3 training in WASH programs the community of Yawokofe
・実施国・地域:トーゴ、パリメ
・実施期間:2015年12月~2016年5月
・受益者数: 直接受益者数225人、間接受益者数465人
・費用:2,100 USD(JWF ファンド1,000ドル、地域住民より1,100ドル)
課題
ヨーコフェ村の人びとは、生活排水や産業排水などにより汚染されたズィーゾ川の水を水源として使用している。また各世帯にはトイレがなく、住民たちは野外排泄をしている。人びと、特に女性や子どもは、汚染された水源の使用やきれいな水の不足、衛生施設が乏しいことにより、コレラや赤痢、下痢症、回虫、熱帯病などの病気にかかりやすい状態にある。
活動成果
・浅井戸1基、エコサントイレ1基、手洗い場1カ所を設置
・水と衛生に関するワークショップを3回、啓発活動を3回実施
・225人(女性80人、男性45人、子ども100人)がきれいな水と安全な衛生設備を使用できるようになり、自身の健康や手洗いについて毎日意識するようになった
・3人の建設作業職人が井戸とエコサントイレを建設できるようになった
・5人の健康促進員が良い健康習慣について学び、地域に伝えている
・水委員会が設立され、7名のメンバーが維持管理について学んだ
プロジェクト実施前の水源 | 浅井戸の完工式 |
3. #008 小学校児童と住民の健康を守るための地域プロジェクト
・実施団体:Roco Paco Community Based Organization
・プロジェクト名:Ribbe Pi Gwoko Yotokom (Unity for Health Protection)
・実施国・地域:ウガンダ、ウガンダ北部、パデル県、ルーワラ村
・実施期間:2015年12月~2016年5月
・受益者数:直接受益者数500人(小学校児童270人、児童の両親130人、中等学校教員20人、中等学校への訪問者80人)、間接受益者数176人(女性102人、男性74人)
・費用:1,180 USD(JWFファンド1,000ドル、村のリーダーたちより180 ドル)
課題
ウガンダの農村部における上下水道の普及率は30%ほどで、住民たちは安全な水を得るために3キロ以上を移動しなければならない。衛生環境はさらに悪く、農村部に住む人びとの多くは林で排泄することが習慣となっている。このような劣悪な衛生環境により、コレラや腸チフス、マラリアといった熱帯病の発生が増えている。
活動成果
・新しいトイレを1基建設
・古いトイレを1基改修
・500人(小学校児童270人、児童の両親130人、中等学校教員20人、中等学校への訪問者80人)が改善したトイレを使用できるようになった
・176人(女性102人、男性74人)が衛生に関するワークショップに参加した
プロジェクト実施前のトイレ | 改修後のトイレ |
4. #009 カコロ地域の水源保護と、水と衛生に関する教育
・実施団体:PEACE INITIATIVE OF INTERNALLY DISPLACED WOMEN ASSOCIATION
・プロジェクト名:Protection of Kakoro community spring and health education on water and sanitation
・実施国・地域:ウガンダ、ウガンダ東部、パリサ県、カコロ
・実施期間:2015年12月~2016年5月
・受益者数:直接受益者男性240人、女性460人、子ども560人
・費用:952USD(JWFファンド789ドル、村長より163ドル)
課題
カコロ地域の主な水源は、保護されていない自然の湧水である。この地域に住む450世帯と560人の小学生児童がこの水を使用している。劣悪な水と衛生環境により、コレラや疥癬、腸チフス、マラリア、トラコーマ、寄生虫などの熱帯病をもたらし、特に子どもの死亡率が高い。
活動成果
・湧水の保護を行った
・3つの村で地域住民への啓発活動を実施
・3つの村で衛生に関するトレーニングを実施
プロジェクト実施前の水源 | 建設した水供給設備と住民 |
5. #034 バイオサンドフィルターの導入とトレーニングによる、イサンドゥラ地域の慢性的な水と衛生の問題解決
・実施団体:Right Livelihood and Empowerment Organization (RLEO)
・プロジェクト名:Training and application of s the bio-sand filter to solve chronic water and sanitation problems at Isandula community
・実施国・地域:タンザニア、ムワンザ州
・実施期間:2015年12月~2016年5月
・受益者数:直接受益者 女性120人、男性72人、イサンドゥラ小学校児童205人
・費用:1,424 USD(JWFファンド1,000ドル、村長や開発委員会から424ドル)
課題
イサンドゥラ村、イルング村、イヒンビリ村の住民たちは慢性的な安全な飲み水の不足の課題に悩まされている。特に乾季は、住民たちは汚れた池の水を使用している。女性や女児たちは約6キロ離れた井戸に水を汲みに行かなければならない。これにより、女性や女児たちが性的暴行を受ける危険が増えている、また女児は学校に通う機会を奪われている。
活動成果
・バイオサンドフィルタータンク1基をイサンドゥラ村に導入
・女性120人、男性72人、イサンドゥラ小学校児童205人が安全できれいな水を使用できるようになった
池から水を汲む村の住民たち | 建設したバイオサンドフィルター |
6. #035 洪水を経験したニサッタ村にきれいな水を届けるプロジェクト
・実施団体:Shama Social Village Development Organization
・プロジェクト名:Provision of Clean Drinking Water in Flood area of Village Nisatta – Charsadda
・実施国・地域:パキスタン、チャーサダ地区、ニサッタ
・実施期間: 2015年12月~2016年5月
・受益者数:直接受益者270 人、間接受益者550人
・費用:4,647USD(JWFファンド1,000ドル、Shama Organizationと現地コミュニティより3,647ドル)
課題
川と運河、その支流に囲まれるこの地域は水関連の自然災害に脆弱で、2010年の洪水では深刻な被害を受けた。井戸などの飲み水の水源が失われ、貧しい人びとのほとんどはいまだきれいな水源のない生活をしている。
活動成果
・ハンドポンプ10基を設置
・洗濯場10個を設置
・各ハンドポンプに排水管を設置
・2回の公衆衛生プログラムを実施
プロジェクト実施前の井戸 | きれいな水で洗濯をしている様子 |
会員や寄付をいただいた皆様からのご理解とご支援、ご協力により、本年も活動を実施することができました。ありがとうございました。5カ国の草の根活動団体は、無事活動を完了し、日本水フォーラムもその結果を報告することができました。JWFファンド2015を通じ、現地のニーズに応えることに役立つことができました。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
(報告者:マネージャー 石原小枝)