2007(平成19)年3月、ダルビッシュ有投手(現MLB サンディエゴ・パドレス所属)は、日本水フォーラムと協力して、水不足や水の汚染などに苦しむ発展途上国の人々に安全な水を提供することを目的に、「ダルビッシュ 有 水基金」を設立しました。ダルビッシュ有投手は、公式試合で勝利投手となるごとに、同基金に10万円を寄付することを続けています。
この基金を用いて、これまで11カ国で計15件のプロジェクトを実施してきました。
第15号 ギャノダヤ中学校における水と衛生促進プロジェクト
第15号プロジェクト概要
ギャノダヤ中学校では、既存の給水設備が破損し使用できないため、生徒は衛生習慣を持つことが難しく、水系感染症も頻繁に発症している状況でした。このプロジェクトによって中学校に給水設備を支援することで、生徒や教員の水へのアクセス、および衛生状況が改善されました。また、衛生キャンペーンを通じて、生徒や教員だけではなく、地域住民も衛生習慣を身につけることができました。
プロジェクト後の様子
1.実施地
ネパール ガンダキ州 ギャノダヤ中学校
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2.受益者数
生徒と教員(約840名)、及び地域住民
3.実施期間
2022年1月~12月
4.現地活動実施団体
Nepal Water for Health (NEWAH)
https://www.newah.org.np/
5.実施地の水問題
- この中学校は村で最も古い学校の1つであり、既存の水栓が使用できないことから、長い間水不足に悩まされていた。
- 学校のトイレは水がないため使用できなかった。
- 生徒たちは、飲み水を得るために授業中に近くの小川に行ったり自宅に戻ったりしており、授業欠席の原因となっていた。これに伴い、生徒の学業にも支障が出ていた。
- 生徒たちの間で、水系感染症が頻繁に発症していた。
- 水不足のため、手洗い等の衛生習慣を持つことはほぼ不可能であった。
6.プロジェクト概要
プロジェクト地であるギャノダヤ中学校と、地元自治体、現地実施団体(NEWAH)間での覚書を締結した後、活動を開始しました。当初のスケジュールから3か月遅れとなりましたが、予定されていた設備建設や衛生キャンペーンは完了し、工事完了後の水質検査では、 水質に問題がないことが確認されました。
プロジェクト完了後には、全設備を学校管理委員会に引き渡しました。今後、学校管理委員会ではこのプロジェクトで整備された設備を長期にわたって使用していくため、維持管理基金を設立予定です。
実施項目
- 取水設備/送水管/貯水タンク(4m3)の設置
- 給水設備2カ所の建設(飲料及び手洗い用)
- 既存のトイレへの配水接続
- 水質試験
- 衛生教育(生徒/学校衛生委員会/住民)
- 設備管理者への維持管理トレーニング
7.成果
- ギャノダヤ中学校における水へのアクセス改善及び衛生状況の改善
- 生徒間での水系感染症の削減
- 生徒の授業参加率改善
- 生徒、教員及び地域住民の衛生習慣の向上
このプロジェクトにより、特に以下の持続可能な開発目標(SDGs)達成に貢献しています。
SDG 3:すべての人に健康と福祉を
SDG 4:質の高い教育をみんなに
SDG 6:安全な水とトイレを世界中に
SDG 17:パートナーシップで目標を達成しよう
8.受益者からの声
14歳女子生徒
今では、学校にいるときもきれいな水を使うことができます。このプロジェクトが実施される前は、家から水を持ってきたり、学校の外にある他の人の家に水を飲みに行ったりしていました。学校できれいな水を使うことができるように、またトイレを使えるように支援してくださった方と NEWAH に感謝します。
校長先生
生徒たちが学校で水を十分使うことができるようになり、とても幸せです。以前は水道が 1 カ所しかなく、 800 人の生徒には十分な数ではありませんでした。貯水タンクが学校敷地内にできたことも 、非常に重要だと考えています。以前は、生徒たちが飲み水を手に入れるために頻繁に学校を抜け出すことが問題となっていましたが、今では解決されています。ダルビッシュ有水基金と NEWAH の支援に感謝します。
プロジェクト前の様子
プロジェクト中の様子
ダルビッシュ有投手をはじめ、当基金へご寄付いただいた皆さま、現地パートナー団体、対象地域の住民等、多くの皆さまのご支援とご協力によりプロジェクトを実施することができました。心より感謝申し上げます。
▼ダルビッシュ 有 水基金や過去に実施したプロジェクト、参加方法についてはこちら▼
https://www.waterforum.jp/what-we-do/darvish/
(報告者:マネージャー 田畑美世)