3月22日に、国連本部内Trusteeship会議場で、国土交通省と日本水フォーラムAPWF事務局と「水レジリエントで、持続可能で包摂的なアジア太平洋地域の道筋」と題したイベントを共催しました。本イベントでは、第4回APWSで採択された「熊本宣言」を踏まえ、アジア太平洋地域における気候、強靭性、環境に関する水の安全保障の課題に対処する方策について議論を行いました。
日本、タジキスタン、インドネシア、インドの各政府代表は、自発的なコミットメントと行動の具体事例を紹介しました。続いて、第一線で活躍するAPWF主要メンバー等の専門・実務家によるパネルディスカッションを行いました。政策、投資及びパートナーシップに関する解決策を通じて、どうすれば、「水」を質の高い社会構築の中核に捉え、気候変動に対する強靭性を確保し、社会経済活動の活性化に寄与することができるか、また、どのように成功事例を再現し、拡大展開させることができるかを議論し、アジア太平洋地域各国における行動加速化に向けた提言を行いました。
◆ パートナー機関: |
- 主な提言
- 現在の水資源管理や水関連災害軽減のためのインフラの多くは、気候変動課題が考慮されていないことから、気候変動やそれに伴う異常気象の影響を予測し軽減する能力を再評価する必要がある。
- 気候変動と水関連問題がもたらす課題に対処するため、気候変動に対して強靭なインフラ整備、データと情報管理の改善、よりまとまりのある制度設計を優先させる。
- 民間投資を呼び込むには、リスクを管理しやすい安全な空間を作り、より効率的なビジネスの実践を可能にするガバナンス改革を行うことが重要である。
- アジア太平洋地域の国々間で成功事例やベストプラクティスを共有することは、SDG6の進展にとって重要である。
- 体系的な学習と協力を促進するガバナンスの枠組みは、効果的な戦略を特定し、知識を共有するためのプラットフォームを提供することができる。また、水、エネルギー、食料の複雑な関係を考慮し、統合的な水資源管理に焦点を当て、デジタル技術を活用しながら、政策の一貫性と包摂性の推進し、気候目標、農業、エネルギーとの相乗効果を生み出すことが重要である。
- 異なるレベルの様々なアクター間の協力を促進するために、多様な利害関係者間による集結を可能とするプラットフォームを設立し、水関連問題の統合を優先的に行う。多様な利害関係者間のプラットフォームは、対話を招集し、他のセクターを巻き込み、現場での介入の実施を容易にする。国レベルで水問題に取り組むために、関連するデータや情報にアクセスし、政策支援を行う多国間プロセスに従事する。
- 効果的なガバナンスは、ギャップを埋め、水関連の目標を達成するために重要である。また、技術やインフラは課題のいくつかに対処するのに役立つ。しかし、全利害関係者の利益を考慮した資金調達と包括的なパートナーシップは、依然として課題である。また、水の消費量を減らしつつも、すべてのコミュニティに利益をもたらす持続可能な水利用の市場を創出するために、需要側の選択肢を探る必要がある。
- コミュニティベースのアプローチ、多部門のプロセス、包括的なパートナーシップが、相互に関連する水問題への取り組みに役立つ。セクター間の障壁を取り除き、既存のネットワーク間の連携を促進し、変革的な変化を支援する研究を行う必要がある。
- 水資源管理において中核的な利益をもたらし、気候への適応と緩和の両方を同時に可能にする解決策を探す。水に配慮した都市設計の原則は、野生動物の生息地を提供し、水質を改善し、汚染を低減し、都市のレクリエーション空間を向上させながら、洪水管理や都市の気温調節に役立つ。
本サイドイベントのアーカイブ動画は、国連ウェブTVよりご覧いただけます。
https://media.un.org/en/asset/k1u/k1uuethi4o
参考: セッションプログラム
セッション紹介 |
開会挨拶:大西一史熊本市長 (第4回APWS共催都市) |
ショーケースプレゼンテーション |
パネルディスカッション |
セッションのまとめ |
(報告者:日本水フォーラム チーフマネージャー 朝山由美子)