JWF News 9月号 丹保先生、私たちは「腰砕け」にはなりません

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【JWF News Vol. 232】2023年9月20⽇発⾏
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◇⽬次◇
・巻頭言 丹保先生、私たちは「腰砕け」にはなりません
・日本水フォーラムからのお知らせ
 - JWFウェビナー2023(第1回)開催のご案内

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・巻頭言 丹保先生、私たちは「腰砕け」にはなりません
日本水フォーラム代表理事 竹村公太郎
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 日本水フォーラム副会長の丹保憲仁先生が、令和5年8月6日にご逝去されました。
 丹保先生の逝去に哀悼の意を表せさせていただくとともに、先生のご冥福を心よりお祈りいたします。

 日本水フォーラムは、2003年の第3回世界水フォーラムの日本開催の成果が、国内外に引き継がれていくために、2004年に設立されました。以来、丹保先生には、学術界を代表して、評議会副会長をお務めいただきました。皇太子同妃両殿下(当時)がご臨席されたIWA世界会議・展示会(2018年、東京)の折は、日本水フォーラム会長(元内閣総理大臣)に代わり両殿下をお出迎え頂き、私はそのお手伝いをさせていただきました。
 日本水フォーラムの取組の中心は、水と衛生の問題です。そして、水が関わる全ての問題です。約20年間の長きに亘り、日本水フォーラムをお導きくださいましたことに、心より感謝いたします。

 2008年の秋、私は丹保先生をお訪ねしました。2007年12月から2008年8月にかけて故・中川昭一衆議院議員が主宰された自民党の「水の安全保障研究会」の報告書を持参してのご相談でした。
 この研究会で指摘された課題を丹保先生にご報告しました。1点は、水問題解決の壁は水行政の縦割りである。もう1点は、水問題解決の司令塔が不在である、という2点でした。
 この課題を日本水フォーラムの丹保先生に継続して担ってもらいたい、という中川昭一先生のご意向をお伝えしました。丹保先生は、自分のような老兵を引きずり出すのか、と笑いながらも、目は鋭く私を見詰めてご承諾いただいたのでした。
 
 2009年1月30日、丹保先生が議長となり「水の安全保障戦略機構」が発足しました。丹保先生の呼びかけで、日本の水分野・国際分野の最高レベルの方々が執行審議会委員として参集していただき、かつてない会議が創設されました。
 議長の丹保先生はこの会議を通じ一貫して、近代文明のエネルギーと食糧の脆弱さと水の役割、分散自立し連携していく社会システムへの方針を強調し続けられました。
 私は丹保先生のご意見に接し、近代の危うさをそこまではっきり表現してもいいのかと驚きをもってお聞きしていました。丹保先生のリードもあり、全ての委員の方々の歯に衣着せぬご意見の交換となり極めて刺激的な会議に終始しました。
 2012年10月までに10回以上にわたり熱がこもった議論が繰り広げられ、年月を経ても色あせない提言「低炭素で持続可能な水・物質循環社会へ(50年後を目指して、今日から歩む)」を取り纏めることができたのです。
 
 提言の前文で丹保先生は次のように結んでおられます。
「世界に先駆けて人口が減少に転じるわが国は、別の見方をすれば近代を卒業する世界最初の大国である。近代の次の時代「後近代文明」の創成者となりうる歴史的位置についた極東の超先進国ではないか。環境のさまざまな問題を持つ社会がそれを創造的に解くことによって、新文明が生まれ、世界第1の先進国となるのだと思います。日本人は歴史上初めてのそのチャンスに向き合っているのでなかろうか。ものに出来るか、腰が砕けるかは、日本人の覚悟の問題でなかろうか。自己の位置を小さく見誤ってはならないと思います。」

 丹保先生の逝去の報を受け、電車の中でこの言葉を思い出し「腰砕けにはなりません」と丹保先生に向かってつぶやいた時、涙を流してしまいました。

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・日本水フォーラムからのお知らせ
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– JWFウェビナー2023(第1回)開催のご案内

日本水フォーラムは、国際協力機構(JICA)「水の防衛隊」で派遣された方々を講師にお招きし、9月21日(木)に、第1回JWFウェビナー2023を開催いたします。

 日本の政府開発援助(ODA)の実施機関である国際協力機構(JICA)では、2008年以来、15年にわたって、アフリカの水・衛生の改善にとり組む若者のボランティアとして、「水の防衛隊」を継続的に派遣しています。2023年5月末までに21カ国に累積で294名を派遣し、現在も20名が9か国で活動しています。水の防衛隊は、現地のコミュニティの人々と一緒に暮らしながら、そのニーズをくみ取り、自由な発想で課題の解決に向けた活動を行っています。

 本ウェビナーでは、この「水の防衛隊」における日本の若者発のユニークな取り組み、イノベーションをご紹介します。

▼詳しくはこちら▼
https://www.waterforum.jp/news/21039/

(報告者:プロジェクト・コーディネーター 鈴木宏久)

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・掲示板コーナー
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【2024日本ストックホルム青少年水大賞】
主催:日本水大賞委員会(事務局:公益社団法人日本河川協会)
期間:令和5年4月1日~9月30日
URL:http://www.japanriver.or.jp/sjwp/index.htm

【企業連携水循環ウェビナーの開催について】
主催:内閣官房水循環政策本部事務局
日時:2023年10月3日(火)10:00~12:00
形式:Zoom配信
参加費:無料
URL:https://www.kantei.go.jp/jp/singi/mizu_junkan/r050825_mizu_event.html

【第31回リバーフロント研究所発表会】
主催:公益財団法人リバーフロント研究所
日時:2023年10月4日(水)13時~17時40分
場所:月島社会教育会館 4階ホール
URL: https://www.rfc.or.jp/ivent2023.html

【第209回河川文化を語る会 船上講演会「川から見る東京・2023」】
主催:公益社団法人 日本河川協会
日時: 2023年 10月 13日(金)
場所/参加方法:東京(神田川、日本橋川、隅田川、小名木川(扇橋閘門)/HPより
受付フォーム及び申込用紙のご案内があります。なお、申し込み後抽選となります。
URL:https://www.japanriver.or.jp/kataru/kataru_no209.htm

【第26回日本水大賞】
主催:日本水大賞委員会(事務局:公益社団法人日本河川協会)・国土交通省
期間: 令和5年7月7日~10月31日
URL:http://www.japanriver.or.jp/taisyo/index.htm

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JWF News Vol. 232 令和5年9月20⽇発⾏
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