ダルビッシュ 有 水基金 第17号プロジェクト『「雨水の力」ポーサット州ヴェアル・ヴェエン郡プロマオイ町ストゥントメイ村内貧困世帯への安全な飲料水アクセス支援(カンボジア)』を開始しました!

ダルビッシュ有水基金第17号プロジェクトを開始しました!
(上の写真は、完成イメージです)

ダルビッシュ有水基金の詳細はこちら。

1.プロジェクト名

「雨水の力」ポーサット州ヴェアル・ヴェエン郡プロマオイ町ストゥントメイ村内貧困世帯への安全な飲料水アクセス支援

2.実施地

カンボジア ポーサット州 ヴェアル・ヴェエン郡 プロマオイ町 ストゥントメイ村

カンボジア国ポーサット州
ポーサット州内ストゥンメイ村位置
実施地の様子
村を東流するポーサット川。住民の主な水源だが、雨季に上流から生活排水や化学品が流入して汚染されている。

3.実施期間

2024年7月~2025年1月

4.現地実施団体

RainWater Cambodia(RWC)

2004年に発足した、活動的なカンボジア人によって運営されているNGO。現在は6つの州と首都で、雨水貯留の本格化を含む清潔な水、衛生設備、学校、コミュニティ、医療センターにおける衛生行動の変革のために、さまざまなプロジェクトを実施している。

RWCの詳細はこちら。https://rainwatercambodia-rwc.org/

5.プロジェクト背景

 ストゥントメイ村は、カンボジア西部のタイ国境に近いカルダモン山脈のポーサット州プノム・サムコス自然公園内にある。村内にはこの山脈から東南アジア最大の湖、トンレサップ湖に注ぐポーサット川が流れている。村のあるヴェアル・ヴェエン郡は、ポーサット川最上流部の高原である。ストゥントメイ村はヴェアル・ヴェエン郡にある、プロマオイ町の10村のうちの一村である。山と林に囲まれ、378世帯、総人口1,516人、うち女性が769人。貧困家庭が66世帯、極貧家庭が38世帯である。人口の90%以上がトウモロコシ、豆、キャッサバ、カシューナッツ、オレンジなどの農作物を栽培している。残る人口の10%は公務員、警察官、教師、労働者である。

 この村はコミュニティ保護区(Community Protected Area、以下CPA)として知られており、CPAは林業と森林農法から得られる利益を管理、保全、利用する役割がある。CPAには306世帯が参加し、27人の管理委員(女性3人を含む)がいる。村民の約80%は幹線道路(国道)沿いに住む。20%が幹線道路から2~3km離れた場所に住んでいて、雨季の道路アクセスは困難である。このプロジェクトでは、特に幹線道路から遠く離れた、最も貧しく社会から取り残された世帯を対象とする。

6.実施地の水問題

  • カンボジアは国として順調に発展している一方で、貧困や社会から取り残された共同体もある。
  • こうした共同体では人口の50%以上が表流水や地下水を水源とする安全でない水を直接飲んでいる。雨季には雨水も併用するが、乾季には遠くまで水汲みに行くか水売りから購入する。そこで、実施団体は安全性を高めた雨水貯留システムを普及してきた。
  • プロジェクト地ストゥントゥメイ村も共同井戸、ため池、ポーサット川のような水源と伝統的な雨水の利用を行ってきた。しかし、地下水には鉄分が多く、ため池や川には雨季に農業排水や化学物質が流入して汚染されてきた。
  • 様々な対策がなされてきたが、幹線道路から離れた貧困世帯などへの支援が不十分であり今回の応募に至った。
ストゥントメイ村の共同体が管理しているため池。
ストゥントメイ村の地下水。鉄分が多く含まれている。
伝統的雨水貯留システムの例。蓋や覆いなどの飲料水保護がされていない。
ストゥントメイ村の伝統的雨水貯留システムの例。蓋などによる飲料水保護がない。

7.プロジェクト実施事項

 雨水貯留はカンボジア全土で伝統的に行われ、2002年のJICAによる中央カンボジア303村落地下水調査では87%の住民が利用していた。ただし、量の確保が不十分で表流水や地下水と選択的な利用だったり、衛生的でない施設を使用したりしていた。そこで、RWCは安全性を高めながら雨季の雨を十分に取り込み、乾季が終了するまで蓄える容量のジャンボジャーによる雨水貯留システムを設計提唱して、乾季に備えた水利用キャンペーンの実施とあわせて、共同体活動支援を行う。

【施設】
  • 20世帯への雨水貯留システム設置: 安全性を高めて長期保留を可能とする3,000リットル入り貯水槽(愛称:ジャンボジャー)を、選ばれた20世帯に設置する。施工は地元の石工が行う。設置後は利用する前に塩素消毒を行い、水質試験を行う。
【研修】
  • 水安全計画研修セッション: 選抜した8人に、飲料水の保護に焦点を当てた雨水安全計画と雨水貯留システム製造設置に関する1日研修を行う。直接受益者だけでなく、他の世帯が所有する雨水利用や貯留システムの安全性高度化を促進して間接受益とする。
  • 受益者へのジャンボジャー3000Lの維持管理研修: 新規に雨水貯留システムを所有する20世帯の受益者の研修。
  • 雨水安全利用促進のための全村水安全計画啓発集会: 50人の住民代表と100人の小学生を対象に、安全な飲料水と雨水利用についての知識を深める集会を実施する。
RWC提唱による、安全性を高めた雨水貯留システムの設置例。

8.受益者数

250人

雨水貯留システム新設者:  100人、20世帯(男性30、女性35、子ども35)

村落水安全研修会参加者: 150人(男性15、女性35、学生100)

9.期待される成果

  • 20世帯(男性30人、女性35人、子供35人)が安全性の高い雨水貯留システムを利用する。新規購入全世帯が維持管理研修を受講する。
  • 選抜された8人に雨水の安全な取扱いや雨水貯留システム製造設置能力を持たせて、伝統的雨水貯留システムを所有する世帯への改善を促す。
  • 共同体全体の保健衛生向上のために、村内学校の子供たちや地域住民約150人が参加する安全な水の取り扱いと雨水貯留方法の啓発集会を行う。
  • 選抜された人物や完成した施設を通じて、村の世帯数378の二分の一、すなわち189人は間接受益者になると見込む。彼らが現に所有している、伝統的雨水貯留システムの安全性を高めるきっかけとしたい。

このプロジェクト達成により、特に以下の持続可能な開発目標(SDGs、2015年国連採択)達成に貢献できる。

なお、ダルビッシュ有水基金の設立は2007年である。

SDG3:すべての人に健康と福祉を
SDG4:質の高い教育をみんなに

SDG6:安全な水とトイレを世界に

▼ダルビッシュ 有 水基金や過去のプロジェクト、参加方法についてはこちら▼

http://www.waterforum.jp/jp/what_we_do/darvish/

【お問い合わせ先】

特定非営利活動法人 日本水フォーラム

TEL 03-5645-8040 FAX:03-5645-8041

office[at]waterforum.jp([at]を@に代えて送信してください)

(報告者:プロジェクトマネージャー 鈴木武二郎)

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