◆水循環基本法とは
健全な水循環は、我が国の経済社会の健全な発展と国民生活の安定向上のカギです。2014年に成立した水循環基本法の目的にその旨が定められています。基本理念は5つです(下図)。この水循環基本法に基づいて、内閣に水循環政策本部が設置されています。本部長は内閣総理大臣。その本部で水循環基本計画が策定され、健全な水循環のための具体的な政策が推進されています。
◆新たな水循環基本計画
この4月から、水道の整備・管理行政が、厚生労働省から国土交通省及び環境省へ移管されました。その移管後としては初となる水循環基本計画の見直しが行われ、先月8月30日に新たな計画が閣議決定されました。通常5年を目途に見直されますが、今回は1年前倒しで進められました。2024年1月に発生した能登半島地震や、4月からの水道行政移管、また近年の気候変動の影響の顕在化等の観点を踏まえ、4つの重点が設けられています(詳しくはこちら→水循環政策本部ウエブサイト)。
◆日本水フォーラムの政策提言活動
私たち日本水フォーラムは、20年前に創立されたNPO法人/NGO(非政府組織)です。創立以来一貫して、水関連の諸課題解決の重要性と、それに一体的・統合的に取り組む必要性を、国内外の皆様と共有・発信してまいりました。国内に向けた政策提言活動としては、「水の安全保障戦略機構」(以下、戦略機構)の、事務局としての取組みがあります。戦略機構は15年前の2009年1月に発足した政策提言機関です。2012年に発表した提言(略称「提言2012」)は、今日の水循環基本法に寄与しました(下図「提言2012図解」ご参照)。
◆水の安全保障戦略機構(事務局:日本水フォーラム)の新たな提言
戦略機構は2024年3月、水道行政移管を契機とした新たな提言(略称「提言2024」PDFはこちら)を発表しました。上流取水への転換やダムの弾力的・高度な運用の提案をはじめとする、50年後を見据えた持続可能な水循環ビジョンを示す提言です。その内容は、前述の新たな水循環基本計画にも随所に取り入れられています。戦略機構では今後、「提言2024」の具現化に必要な課題を抽出する検討会等に取り組む予定です。
◆参考:日本水フォーラムの主な政策提言活動(国際)
- アジア・太平洋水フォーラム(国際NGO、事務局:日本水フォーラム)での政策提言活動
- アジア・太平洋水サミットの開催(アジア・太平洋水フォーラムが主催国・都市と共催する首脳級会合)
- 世界水フォーラム(世界最大級の水の国際会議)への参画
- 国連水会議への参画(2023年3月、46年ぶりにニューヨーク国連本部で開催)
(報告者:チーフ・マネージャー桑原清子)