ダルビッシュ有水基金・第17号プロジェクトの中間報告です!

「雨水の力」ポーサット州ヴェアル・ヴェエン郡プロマオイ町ストゥントメイ村における貧困世帯への安全な飲料水アクセスの支援(カンボジア)

受益者世帯との工事着手前説明会

1.事業地

カンボジア ポーサット州  ヴェアル・ヴェエン郡 プロマオイ町 ストゥントメイ村

カンボジア国ポーサット州
ポーサット州内ストゥンメイ村位置

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2. 受益者数

  254人
   雨水貯留システム新設者:       104人、20世帯(男性37、女性36、子ども31)
   村落水安全研修会参加者:       150人(男性15、女性35、学生100)

3. 現地パートナー団体

 実施団体 RainWater Cambodia(RWC)
 www.rainwatercambodia-rwc.org

4. プロジェクト実施概要

 プロジェクト開始から3ヶ月が経過して、当初計画通り順調に進行している。RWCは、郡、町、村の担当者を含む地域関係者と密接に連携して、現地説明会、研修ワークショップ、雨水貯留システムの設置などを行った。RWCの所見によると、プロジェクトから得られた最大の成果はストゥントメイ村の担当者・学校職員・住民への安全な雨水貯留計画に関する知識移転だった。

【成果】
  • プロジェクト開始の現場説明会
  • 受益者世帯の候補訪問・選定・決定
  • 受益世帯との工事着手前協議
  • 資材調達と施工する地元石工を住民から選定
  • 「安全な雨水貯留計画」に関する研修ワークショップ
  • 20基の雨水貯留収集システムのうち16基設置済
  • 戸別訪問
【課題】
  • 大雨と長期間の悪天候:

   大雨が頻繁に発生した。RWCは雨天でも設置作業を進められるように、
   プラスチック等の仮設屋根で施工現場を覆って、石工の作業を続けるように技術指導を行った。

5. プロジェクト活動中間報告

1) プロジェクト開始の現場説明会

 8月22日ストゥントメイ村小学校でプロジェクトの背景や予定などの情報を説明した。

RWC Executive Director Mr. Phen Keaによる現場説明プレゼンテーション

2) 受益者世帯の選定

 2024年8月末から村の担当者の候補者リストをもとに戸別訪問調査を行って、20世帯254人を確定した。雨水貯留システム設置前に、受益者から現金100,000リエル(約USD25、1システムあたり約USD200の12.5%)の負担金を徴収した。

受益者世帯候補への戸別訪問調査。
左端に、既設の伝統的雨水貯留システムがある

3) 雨水貯留システムの設置と維持管理研修

 地元で伝統的雨水貯留システムを設置してきた石工が、RWC研修受講後採用された。2024年9月19日に雨水貯留システムの設置を開始した。2024年10月30日現在、16基の雨水貯留収集システムが設置された。9月27日と10月11日に施工の監視、監督、および検査を行い、受益者世帯・村の担当者・町議会議員・石工などが参加した。

雨水貯留システム設置状況
設置された3,000ℓ雨水貯留槽ジャンボジャー
ジャンボジャーのプロジェクト銘板
プロマオイ町議員Mr. Chhem Nannによる施工現場視察。
仮設プラスチック屋根つき

4) 安全な水の計画と雨水貯留研修

 2024年9月12日、ストゥントメイ村小学校にて村の担当者と学校職員を対象に「安全な水の計画(Water Safety Plan 以下WSP)」と雨水貯留の研修を実施した。参加者は10名(うち女性2名、教職員3名)、研修内容は以下のWSP重点4項目習得だった:

  • 水源管理:水源リスクの評価、汚染やその他の危険要因を特定する方法
  • 水の収集:安全な水の収集方法、清潔な道具や方法による汚染防止の重要性
  • 水の貯留:水質を保持させる貯留方法、清潔で蓋のある容器の推奨
  • 飲料水の安全:最終的に飲料水として貯留水の安全性を確保する方法(煮沸やろ過など)の紹介
WSPと雨水貯留研修参加者
WSPグループワーク発表状況

5) 戸別訪問

 村の担当者は、WSP研修資料を活用して、30世帯(うち20世帯は雨水貯留システムの受益世帯)を訪問して、安全な水の計画WSPを行うための重要なメッセージ(①水源安全管理、②安全な貯留、③飲料水の安全)を共有した。また、ジャンボジャー雨水貯留システムは便利で安全・地元石工による設置可能等の利点を共有した。研修に参加した教職員は、学校教育の場で生徒に「安全な水の計画」を伝えた。

戸別訪問。研修を受けた村の担当者が、住民と「安全な水の計画」を共有した
ストゥントメイ村小学校朝礼。校長Mr. Ouk Sivより国歌斉唱時に、安全な水の計画の重要メッセージについてお話があった

6.住民の声

 1)Mr. Sous Muser

73歳、農業、雨水貯留システム受益者

 最近プノンペンから移住してきたイスラーム教徒で、水源は雨水と水売りから購入する水を使っていた。このプロジェクト以前は、水が十分に確保されているかが最大の関心事だった。自宅に雨水貯留水槽が設置され、安全な水の計画の知識を得てからは、家族も自分自身も幸福になったと述べられた。

2)Mr. Thach Promthor

72歳、農業、雨水貯留システム受益者

このプロジェクト以前の水源は、村近くの小川から汲んだ水を配達するタンクローリーを頼りにしていた。写真は村の水の安全計画担当者Mr. Mao Theang(赤いシャツ人物)が訪問して、安全な水の計画メッセージを共有しているところ。Mr. Promthorは、もう水買いにお金を使わなくなって幸せだと話された。維持管理研修に参加して、雨水貯留システムによる長期的な利益を得たいとのことだった。このプロジェクトと、ご寄付をされた方による自分の家族と村へのご支援に心から感謝したいと話された。

▼2024.8.19 ダルビッシュ 有 水基金 第17号プロジェクト『「雨水の力」ポーサット州ヴェアル・ヴェエン郡プロマオイ町ストゥントメイ村内貧困世帯への安全な飲料水アクセス支援(カンボジア)』を開始しました!▼

https://www.waterforum.jp/news/22248/

【お問い合わせ先】

特定非営利活動法人 日本水フォーラム
TEL 03-5645-8040 FAX:03-5645-8041
office[at]waterforum.jp([at]を@に代えて送信してください)

(報告者:プロジェクトマネージャー 鈴木武二郎)

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