京都世界水大賞がもたらした成果と未来への展望 – Youth Sanitation Concern –

既存衛生施設の浄水状況確認作業の様子

  第7回京都世界水大賞で大賞を受賞したYouth Sanitation Concern(以下YSC)のシンタ・アデリア・スクマ(以下アデル)氏が、ASEAN地域の若者のためのプログラム、JENESYS2024「日本ASEAN学生会議」に参加するため来日されました。
 1月20日(月)、アデル氏と日本水フォーラムの間で、京都世界水大賞に関するミーティングが行われました。
 アデル氏はこのミーティングの中で、以下のとおり受賞後の活動状況や周りの反応等を説明すると共に、この栄誉に対する感謝の気持ちを何度も述べられました。

① 財団法人サガラシタ・インドネシア財団の設立

  YSCは、京都世界水大賞からの資金援助を活用し、サガラシタ・インドネシア財団(YSCインドネシア)を設立しました。本財団の設立により、YSCの信頼性が大幅に向上することとなり、パートナーシップの拡大、資金調達、大規模な衛生・気候変動対応プログラムの実施が可能となりました。

② 既存施設の強化等

   YSCは、従来の活動の継続に加え、以下の4つを実施しました。

  • 公衆トイレの維持管理が改善され、衛生施設を管理する地域住民組織(CBO)の予算配分が増加しました。地域の世帯は、維持費を月3,000ルピアから5,000ルピアに引き上げることに合意し、持続可能性が確保されました。
  • 15 世帯の拠出金により新しい給水ポンプを設置し、衛生施設への水のアクセスが改善されました。
  • 2020年、2022年に続き、2024年12月に汚水処理システムの定期清掃作業を実施しました。
  • 将来のインフラ整備や適応戦略のベースラインとなる、沿岸地域における衛生施設の有効性に関する調査を実施しました。
YSCと衛生施設を管理する地域住民組織(CBO)の方々

③ 日本の団体とのコラボレーション

  京都世界水大賞を受賞したことで、YSCと日本企業とが連携する機会を以下のとおり得ました。

  • LIXILとのSATO事業として, 気候変動に強く、節水可能なトイレに焦点を当てたパイロットプロジェクトがバンダル・ランプンで開始されました。(SATOの技術は、一般家庭が清潔な水を得るために毎月30万ルピアを費やしている沿岸地域の水の消費量を削減することを目的としている。)
     なお、2025年1月16日までにSATOの技術を搭載した公衆トイレが完成し、その翌日に発生した大洪水(バンダル・ランプンでは14,000人の住民が被災)においても、本施設は正常に機能し続け、災害に適応可能なトイレの重要性が再認識されました。
  • 共同イニシアティブとして、株式会社ニュージェックやIDE-JETRO(JETRO アジア経済研究所)気候変動適応における衛生イノベーション及び研究における協力の可能性について、調整が開始されています。(詳細は今後検討。)
LIXILとのSATO事業での浄化槽設置作業の様子

④ メディアへの露出

  YSCの活動のインパクトは、国内外のメディアから注目されています。

  • DWドイツは、公衆トイレの運営に成功しているカンプン・グダン・アゲンの地域住民及びYSC代表者 イファ・ラミ氏が沿岸地域で行っている衛生プログラムのインタビューを掲載しました。これは両者が沿岸地域で行っているプログラムについて紹介を行っているものです。https://www.dw.com/en/indonesia-improving-sanitation-in-coastal-areas/video-71187475
  • Kompasインドネシアは、YSCの「ミュージック・リバーサイド」イニシアチブを取材しました。これは、アート、音楽、市民参加を通じて衛生に関する意識を高めるという独創的なキャンペーンです。
ミュージック・リバーサイドの様子

  YSCの最新事業報告はこちらからご覧いただけます。
https://www.waterforum.jp/pdf/gr/kyoto-prize/YSC-Indonesia-Updates-2024.pdf

 京都世界水大賞について(活動のご寄付等もお待ちしております)
 https://www.waterforum.jp/what-we-do/kyoto-prize/

 (報告者:マネージャー 常宗勇太)

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