JWF News 9月号 日本列島~渇水の夏~

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【JWF News Vol.144】 日本列島~渇水の夏~
2016年9月7日発行

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◇目 次◇

・巻頭言 日本列島~渇水の夏~

・日本水フォーラムからの報告
-JWFファンド2016の経過のご報告
-2016夏の取り組み-第40回「水の週間」
-打ち水大作戦2016閉幕

・活動へのご支援・ご協力のお願いについて

・掲示板コーナー

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・巻頭言 日本列島~渇水の夏~ 代表理事 竹村公太郎

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日本の激しい気候の変化
2016年の夏の暑さは異常でした。昨年2015年の9月の巻頭言もこの言葉で始まっていました。異常な気候が続くと、これが当たり前の気候になってしまいます。
8月初旬、マレーシア国のジョホール州の水関係者を九州でお迎えしました。彼らも「日本はマレーシアより暑い!」と言っていました。
この猛暑の中、首都圏では渇水に見舞われていました。
その渇水も、9月の秋分の日を迎えるころには、秋雨前線が雨をもたらし解消していくでしょう。さらに、台風が日本列島を通過していくと、今度は洪水に対して警戒する体制をとっていくこととなります。日本の季節の変動幅は実に大きく激しいのです。

季節に追われる日本人
台風が過ぎ去ると、衣服は夏物から秋物、冬物へ変化していきます。日本中の家庭で、冬物の衣服を奥から出して、夏物の衣服を奥にしまい込む「衣替え」の時期が来ます。
日本の家屋は広くありません。一年を通して、衣服をクローゼットに吊るしておくほどの空間はありません。日本の衣替えは、狭い部屋の中で、限られた収納箪笥に、異なる季節の衣類を入れ替える作業です。この衣替えは、手間がかかり億劫な作業です。「よし、やるぞ!」と気持ちを奮い立たせないと手に付きません。

日本人は勤勉といわれています。それは、日本人は勤勉にならないと生きていけない日本列島に住んでしまったからなのです。
変化する季節が、一年中、人々を追いかけている日本列島。そこで生きていくためには、時間に正確に、早足で歩き、勤勉にならざるを得なかったのです。

勤勉な日本人
約3,000年前(縄文時代後期~晩期)、日本列島で人々は稲作を始めました。
春がくれば雪解けの水を利用して田植えを始める。暑い夏には雑草を取り、干ばつに備えて厳しい水の管理をする。秋の台風が襲ってくる前に、稲を収穫しようと急ぐ。冬は雪に閉じ込められ、家の中で農具や草鞋を作る。そして、また春の田植えの準備をしていく。
季節変化の幅が大きい日本で生きている人々は、いつも季節に追いかけられていました。なにしろ太陽が照る半年の間で、1年間の稲を収穫しなければなりませんでした。そのためには、季節に後れを取ってはなりません。季節に後れを取れば、飢えが待っています。季節の変化に対応しなければ、死が待っていたのです。それが、日本列島の人々の生き方だったのです。
日本人が勤勉だったのは、道徳的に優れていたからではありません。
日本列島の季節に順応して生きてきたのです。いやがおうにも、勤勉にならざるを得なかったのです。

太陽と月と星の国旗
世界中の国旗を調べると、70カ国近くの国旗が天体のデザインです。その天体の国旗の中、80%が月と星なのです。日本の日章旗のような、太陽のデザインは20%と圧倒的に少数派なのです。
北緯35度~45度の地域では、半年間の太陽の時期は大切です。日本では、毎朝、お天道様に手を合わせ、限りある一日の太陽に感謝して仕事を始めました。
北緯30度以南の人々にとって、太陽は一年中あります。お天道様に感謝などしません。北緯20度以南の赤道に近い国々の人々にとって、お天道様に手を合わせるなど考えもしません。太陽の下で、日本人のようにせかせか働くことは、命を縮める危険な行為です。
南の人々にとって、夜の月と星こそが生命であり、憩いでした。インドネシアで影絵や舞踏劇ケチャが生まれました。アラビア地域では千夜一夜物語が生まれました。南の国々の国旗が、月や星なのは当然といえます。
気象と地形から見ると、どの国の人々が勤勉で、時間に正確で、優秀だ、という議論はとうてい考えられません。人々が住む土地の気象と地形が、その人々の生き方を決めてきたのです。

日本列島
最近、佐藤松男さんが編集した「滅びゆく日本へ~福田恒存の言葉~」(河出書房新社)が出版されました。
劇作家、文芸評論家そして社会評論家であった福田恒存(つねあり)氏は、1994年に82歳で死去されています。私は、遂に福田先生とお会いすることはかないませんでした。福田先生は私が最も尊敬し、私淑する先生です。
福田先生は、文学者、学者、マスコミに対して手厳しい評論を行い、論調は激しく、異彩を放っていました。先生が活躍されていた時期、私は土木技術者としてダム現場で働いていました。遠い地から眩しい思いで、先生の記事や著書を読んでいました。福田先生は、日本の知識人の代表者でした。日本社会の上部構造の代表者でもありました。
その福田先生の発言、記事、論説を集めた「滅び行く日本へ」の最後に、福田先生の言葉として

「日本には国家はなかった。日本列島だけがあった」

とありました。これを読んだとき、身体中が痺れました。
社会の上部構造で生涯を過ごし、上部構造で輝いていた福田先生が、下部構造の日本列島にそこまで目を注いでいるとは知りませんでした。

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・日本水フォーラムからの報告

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JWFファンド2016の経過のご報告

JWFファンドは会員の皆様からの会費や一般寄付で運営しております。
本年は二ヶ月の募集期間に、水と衛生や水災害関連の活動について、45カ国から560件の応募がありました。
現在、10月初旬の採用案件決定に向け審査を実施しております。皆様のご理解とご協力、誠にありがとうございます。
情報は随時ウェブページで公開いたしますので、今後とも現場の課題と活動にご関心をお寄せいただきますよう、どうぞよろしくお願いいたします。

(報告者:マネージャー 石原小枝)

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2016夏の取り組み-第40回「水の週間」

今年、「水の週間」は40年目を迎えました。その中央行事である「水を考えるつどい」は、8月1日(月)、科学技術館(東京都千代田区)にて、皇太子同妃両殿下並びに愛子内親王殿下のご臨席を賜り、開催されました。
今年も日本水フォーラムは、水の週間実行委員として「水の週間」に参画した他、「水を考えるつどい」では、日本水フォーラム代表理事竹村公太郎が基調講演とパネルディスカッションのファシリテーターを務めました。
なお、「健全な水循環」については、政府インターネットテレビ番組でも採り上げられ、今年の水の週間の時期に合わせて、動画が公開されています(出演:竹村公太郎)。

▼詳しくはこちら▼
https://www.waterforum.jp/jp/news/2016/0907/?p=2686
(報告者:マネージャー 桑原清子)

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打ち水大作戦2016閉幕

日本水フォーラムが事務局を務める「打ち水大作戦本部」は、暦の上では暑さのピークとなる大暑7月22日(金)から処暑8月23日(火)までを打ち水強化月間とし、雨水や二次利用水を使用した打ち水の実施を全国で呼びかけました。
ウェブサイトでは、産官学民様々な主体による各所の取り組みや家族・個人レベルの日常の打ち水の様子を、ソーシャルメディアなどを通じて共有するべく取り組みました。
日本水フォーラムは、今後も打ち水大作戦を通じて、水に対する関心喚起、都市の水辺や水利用のあり方に関する意識啓発を図っていきたいと考えています。

▼打ち水大作戦の詳細はこちら▼
http://uchimizu.jp/
(報告者:副ディレクター 浅井重範)

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・活動へのご支援・ご協力のお願いについて

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日本水フォーラムは、皆様の会費及び寄付等によって国内外の水問題解決に向けた
活動を行っております。日本水フォーラムの活動を支援していただける
会員を募集しております。
水問題解決に向けた持続可能な取組みを行うために、皆様の温かいご支援を
なにとぞよろしくお願いいたします。

▼会員募集の詳細はこちら▼
https://www.waterforum.jp/jp/get_involved/pages/become_a_member.php

日本水フォーラムは、国内外の水問題解決に向けて分野問わず幅広い方々と
協働で活動を展開しています。
日本水フォーラムの活動にご協力いただける方、ご興味のある方は
以下よりお問い合わせください。

▼問い合わせ先はこちら▼
TEL: 03-5645-8040
E-mail: news[at]waterforum.jp
※[at]をアットマークに変えて送信してください。

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・掲示板コーナー

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【第24回リバーフロント研究所研究発表会】
主催:公益財団法人リバーフロント研究所
日時:2016年9月16日(金)13:00~17:30
場所:国立オリンピック記念青少年総合センター センター棟501会議室(東京都)
http://www.rfc.or.jp/

【第33回ニューメンブレンテクノロジーシンポジウム2016】
主催:一般社団法人日本能率協会
日時:2016年10月26日(水)~28日(金)
場所:東京ビッグサイト 会議棟(東京都)
https://school.jma.or.jp/membrane/

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※掲示板への掲載希望、JWF News配信停止・変更、その他ご意見・ご要望は、
下記アドレスまで

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JWF News Vol.144    平成28年9月7日発行
特定非営利活動法人日本水フォーラム
〒103-0015 東京都中央区日本橋箱崎町5-4 アライズ第2ビル6階
TEL: 03-5645-8040 FAX: 03-5645-8041
E-mail: news[at]waterforum.jp URL: https://www.waterforum.jp
※[at]をアットマークに変えて送信してください。

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