京都世界水大賞とは
京都世界水大賞は、途上国で水問題解決に尽力する団体等を称える国際的な賞として、3年に1度開催される国際会議「世界水フォーラム」にあわせ、2003年より実施されています。
京都市と世界水会議により設立された京都世界水大賞は、第4回より日本水フォーラムと世界水会議が共催しています。
2015年に開催された第4回京都世界水大賞には、37カ国から110件の応募が寄せられ、選考の結果、ネパールの団体「Environment and Public Health Organization (ENPHO)」が大賞を受賞しました。
ENPHOは、1990年以降、環境と公衆衛生の分野で、適正技術の開発と促進を目指した活動を実施。国内外からの支援や協働事業の実績も多く、取り組みに専門性も見られ信頼性が高いことから、他の模範として活動内容を広く国際的に発信することが期待され、大賞が授与されました。ENPHOには大賞賞金として200万円が贈られました。
ご協賛頂きました株式会社島津製作所、鹿島建設株式会社、大成建設株式会社、株式会社東京建設コンサルタント、川合鑿泉工業株式会社、パシフィックコンサルタンツ株式会社、ブルス・トラベル株式会社、また審査員の皆様、ご理解とご協力を頂きまして、ありがとうございました。
2015年6月~2016年6月にかけて、受賞賞金活用した現地活動が実施されましたので、活動結果をご報告いたします。
第4回京都世界水大賞 実施プロジェクト概要
1)プロジェクト名
よりよい学習環境のための学校支援(SUSIL)プロジェクト
2)実施地
ネパール ベリ県 スルケット郡 ビレンドラナガル市
ネパール | ベリ県 |
3)受益者数
直接受益者数:児童・生徒4,250人、教師240人
間接受益者数:地域住民10,000人
4)実施期間
2015年5月~2016年6月
5)実施団体
Environment and Public Health Organization (ENPHO)
http://enpho.org/
6)実施地の水問題
実施地のある中西部開発区域は、安全な水と衛生においてネパールでも課題が深刻な地域である。安全な水と衛生に関する設備の普及率は、他のどの区域よりも低く、また、5歳未満の子どもの下痢症罹患率も最も深刻である。2014年8月に発生した洪水と地滑りにより、学校における安全な水と衛生に関する設備の多くが損壊し、児童や生徒の健康へのリスクが高まっている。
7)実施内容
<事前準備>
・対象候補となる40校以上の学校での水と衛生に関する調査、基礎情報の収集
・対象となる11校の小・中学校、高等学校それぞれの計画と予算の策定
・対象となる11校の小・中学校、高等学校との覚書締結
<実施活動>
・プロジェクト開始に伴うワークショップ
・子ども会の結成と学校における水と衛生に関するオリエンテーション
・手洗いキャンペーン
・給水設備やトイレ等の設備建設や修繕
・学校管理委員と教師との進捗確認
・学校での維持管理に関するトレーニング
・モニタリングと評価
・プロジェクト共有のためのワークショップと引き渡し
8)実施成果
・小・中学校、高等学校の給水設備やトイレの環境が改善*された
・児童・生徒・教師が水と衛生についての知識を得て、より適切な行動ができるようになった
・対象の学校での活動成果が、児童・生徒・教師の家庭や、他の学校に波及することが期待される
*修繕されたトイレの数:5校、5基
設置されたトイレの数:3校、3基
設置された給水設備の数:11校、26基
実施前のようす
修繕が必要なトイレ | 蛇口から直接水を飲む児童 |
活動のようす
プロジェクト開始に伴うワークショップのようす | 覚書の締結 |
手洗いキャンペーン | 建設したトイレ |
建設した水飲み場 | 引き渡しのようす |
(報告者:マネージャー 石原小枝)