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【JWF News Vol.145】 北海道を襲った、観測史上初めての3台風上陸
2016年10月5日発行
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◇目 次◇
・巻頭言 【特別寄稿】 北海道はこの2016年8月、歴史上初めての
「3連続雨台風+停滞性温帯低気圧」の大豪雨に襲われた
・日本水フォーラムからのお知らせ
-【10月27日(木)】スマートエンジニアリングTOKYO2016特別セミナー
「インフラシステム国際展開の未来と水課題」を主催します
・日本水フォーラムからの報告
-JWFファンド2014 その後の経過
-ダルビッシュ 有 水基金による第10号プロジェクトが完了しました
-ストックホルムにおけるNoWNETメンバー会合
-JWFコミュニケーション・ラウンジ2016を開催しました
・活動へのご支援・ご協力のお願いについて
・掲示板コーナー
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・巻頭言 【特別寄稿】 北海道はこの2016年8月、歴史上初めての
「3連続雨台風+停滞性温帯低気圧」の大豪雨に襲われた
日本水フォーラム副会長 丹保憲仁
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北海道は日本列島弧の最北端に位置していることから、南からの温く湿度を持った気団は北海道には到達しにくく、北海道には梅雨がない。降水の半ば日高山脈の西側(日本海側)では冬期の積雪であり、東側平野は積雪も少なく、流出の大きな部分は春の脊梁山脈(大雪・日高)の融雪による。従って、川の高水は融雪期に定期的に見られ、蛇行する石狩・天塩などの原始河川沿岸の低湿地帯の災いであった。
北海道の主要都市の年平均降水量は1,100mm前後で、東京1,500mm、那覇2,000mmに比べて著しく低く、台風被害はまれである。北海道に住む我々は、1降雨継続で200mmを超える雨が降ると大きな危険を感じる。この夏続けて200mmを超える降水量を持つ台風が3個も続けて上陸し、近隣を通過した2個を加えると、5個もの台風とそのなれの果ての温帯性低気圧に見舞われた。
歴史を振り返ると、台風が本道に直接襲いかかり、北海道開拓が大挫折を受けたのが明治31年(1898年)9月、記録的な豪雨によってもたらされた石狩川大洪水であった。上川からの本流、支流空知川、夕張川:幌向原野両岸の平地がすべて水没し、石狩川流域に幅40km、延長100km、 56,000ヘクタールにも及ぶ湖が出現し、死者300名、全壊家屋3,500棟に及んだ。橋も鉄道も流され、耕地の5分の1が失われ、1万人以上の開拓民が北海道を離れ、開拓事業が大頓挫したが、早くも9月には、「北海道拓殖に関する治水について」の誓願が北海道協会会頭から内務大臣に出され、10月には北海道治水調査会が設立され活動を始める。岡崎文吉博士の原始河川治水論、結氷河川対応などの論があって、最初の石狩川治水計画が自然河川を意識しながら進行する。この時の台風経路は、今回北海道に上陸した3個の台風と殆ど同じであった。
その後、昭和56(1981)年8月に来襲した台風で、石狩川流域の水田地帯は再び大水没に至った。明治31(1898)年から、83年ぶりの大きな被害である。この時の降雨と洪水を定規として、連続台風に備えるような石狩川の基本計画が策定され、洪水対策用のダム貯水池、河道掘削、堤防強化、内水氾濫対策としての水門・ポンプ所、遊水池の建設などが大規模に進められた。
しかし、今年の8月に至って、北海道はかつてない連続台風に見舞われた。台風7号(8月17日)、11号(8月21日)、9号(8月23日)の3つが連続して脊梁(日高)山脈南端を目指して太平洋から直接上陸し、十勝地方からオホーツク海に抜けた。3台風の総雨量は500mm以上、半径が北海道の半ばを覆う大きな雨台風であった。また、その直後には、小笠原沖を迷走していた台風10号が東北の太平洋沿岸(三陸)を襲い、そのあと3日間にわたって500mmを超える巨大な量の雨を降らす温帯性低気圧となって渡島半島付近に停滞した。9月を迎えた頃には、道内でも札幌周辺のみが雨台風被害から免れた状況であった。
昭和56年洪水のような決定的な河川本流の破堤は局限されたものの、今年の「7、11、9号の3連続台風+迷走台風10号崩れの温帯低気圧」の居座りすべてを処置するに十分でなかった。
歴史を画した、今年の大台風群の発現について、歴史気象学・水文学的な理解の進化が望まれる。
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・日本水フォーラムからのお知らせ
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スマートエンジニアリングTOKYO2016特別セミナー
「インフラシステム国際展開の未来と水課題」を主催します
来る10月27日(木)13:30~15:00(15分前に開場)に東京ビックサイト西3・4ホールにおいて、
スマートエンジニアリングTOKYO2016特別セミナー「インフラシステム国際展開の
未来と水課題」を主催します(於:東京都江東区有明)。
講演では、本郷尚氏(三井物産戦略研究所)、金森久志氏(国際協力銀行)をお招きし、
世界の水インフラ国際展開の最新動向や、日本から海外への今後の展開等について議論を
行います。
▼詳細・聴講申込みはこちら▼
http://www.jma.or.jp/set/outline/water.html
(報告者:マネージャー 佐藤啓)
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・日本水フォーラムからの報告
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JWFファンド2014 フォローアップ
JWFファンドは、草の根レベルで水問題の解決に取り組む団体を支援するために設立したものです。
現場の課題やニーズに効率的かつ効果的に応えることを念頭に活動しております。
本年は2015年5月に完了した活動を対象に、現地団体の協力によりフォローアップを実施し、
活動終了から一年後に課題やニーズにどのような変化が見られたか、効果や影響に関する情報を収集いたしました。
▼詳しくはこちら▼
https://www.waterforum.jp/jp/2016/1005/?p=3723
(報告者:マネージャー 石原小枝)
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ダルビッシュ 有 水基金による第10号プロジェクトが完了しました!
第10号プロジェクトではインドのラージャスタン州において雨水利用による安全な飲み水の確保と生活改善のための活動を実施いたしました。
ご寄付頂いたダルビッシュ有投手、そして寄付をお寄せいただきました皆様のご理解とご協力に感謝いたします。
▼詳しくはこちら▼
https://www.waterforum.jp/jp/news/grassroots/2016/1005/?p=2757
(報告者:マネージャー 石原小枝)
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ストックホルムにおけるNoWNETメンバー会合
JWFが事務局を務めるNoWNETは、先進国における国レベルの水パートナーシップ機関で構成されており、知識の共有と優れた水管理の実践を促進することを目指しています。
8月31日、スウェーデンのストックホルムで開催中の世界水週間において、NoWNETのメンバー機関は、今後の具体的な活動を行う機会やテーマ/トピック、並びにそれらを実現に向けたステップについて議論を行いました。その結果、来年開催される同市での世界水週間2017における公式イベントの開催を目指し、メンバー機関が担ってきた、ガバナンスや技術、パートナーシップに関する「イノベーション」(特に汚水処理・再利用の分野等)について紹介すると共に、そうした水パートナーシップ機関の価値について情報発信してくことに合意しました。
▼詳しくはこちら▼
https://www.waterforum.jp/jp/news/2016/1005/?p=3007
(報告者:副ディレクター 浅井重範)
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JWFコミュニケーション・ラウンジ2016を開催しました
9月26日(月)に日本水フォーラムの会議室にて、東南アジア諸国の水問題解決に向け日本の協力可能性を探ること、知見や経験の共有を目的とし、コミュニケーション・ラウンジ2016~都市の発展と水課題~を開催しました。
今回のJWFコミュニケーション・ラウンジでは、マレーシア工科大学のズルカフリ・ユソップ教授をお招きし、マレーシアを中心とした東南アジアの国々と日本の協力可能性について議論を行いました。
▼詳しくはこちら▼
https://www.waterforum.jp/jp/news/2016/1005/?p=2996
(報告者:マネージャー 佐藤啓)
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・活動へのご支援・ご協力のお願いについて
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日本水フォーラムは、皆様の会費及び寄付等によって国内外の水問題解決に向けた
活動を行っております。日本水フォーラムの活動を支援していただける
会員を募集しております。
水問題解決に向けた持続可能な取組みを行うために、皆様の温かいご支援を
なにとぞよろしくお願いいたします。
▼会員募集の詳細はこちら▼
https://www.waterforum.jp/jp/get_involved/pages/become_a_member.php
日本水フォーラムは、国内外の水問題解決に向けて分野問わず幅広い方々と
協働で活動を展開しています。
日本水フォーラムの活動にご協力いただける方、ご興味のある方は
以下よりお問い合わせください。
▼問い合わせ先はこちら▼
TEL: 03-5645-8040
E-mail: news[at]waterforum.jp
※[at]をアットマークに変えて送信してください。
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・掲示板コーナー
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【第33回ニューメンブレンテクノロジーシンポジウム2016】
主催:一般社団法人日本能率協会
日時:2016年10月26日(水)~28日(金)
場所:東京ビッグサイト 会議棟(東京都)
https://school.jma.or.jp/membrane/
【スマートエンジニアリングTOKYO 2016】
主催:一般社団法人日本能率協会他
日時:2016年10月26日(水)~28日(金)
場所:東京ビッグサイト 西ホール(東京都)
http://www.jma.or.jp/set/
【第190回河川文化を語る会】
講演『荒川西遷以後の荒川中流部の洪水氾濫と避難特性の変化 ―川島町を例として―』
主催:公益社団法人 日本河川協会
日時: 2016年10月26日(水) 14:00~16:00
場所:ときわ会館 5F「501会議室」(埼玉県)
http://www.japanriver.or.jp/kataru/kataru_index.htm
【第19回河川生態学術研究発表会】
主催:河川生態学術研究会
日時:2016年11月1日(火)
場所:浜離宮朝日ホール 小ホール(東京都)
http://www.rfc.or.jp/
【第14回川の自然再生セミナー】
主催:公益財団法人リバーフロント研究所
日時:2016年11月11日(金)
場所:月島社会教育会館4階ホール(東京都)
http://www.rfc.or.jp/
※免責事項:日本水フォーラムは、掲示板の掲載情報に関して責任を負いかねます。
掲載情報へのお問い合わせは各主催者へお願いいたします。
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下記アドレスまで
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JWF News Vol.145 平成28年10月5日発行
特定非営利活動法人日本水フォーラム
〒103-0015 東京都中央区日本橋箱崎町5-4 アライズ第2ビル6階
TEL: 03-5645-8040 FAX: 03-5645-8041
E-mail: news[at]waterforum.jp URL: https://www.waterforum.jp
※[at]をアットマークに変えて送信してください。
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