JWF ファンド 2016 完了しました!

JWFファンド2016
JWFファンドは、発展途上国の水問題解決のために草の根活動を行っている団体を支援する基金で、2005年の開始から2016年で12年目となります。この基金は日本水フォーラムの会費や、一般の方から寄せられた寄付により運営されています。
JWFファンド2016では以下のとおり公募を行い、45カ国560件の応募のうち、5カ国6件のプロジェクトを支援しました。

募集概要
・募集期間:2016年6月1日~7月31日
・対象国:経済協力開発機構 (OECD)の「THE DAC LIST OF ODA RECIPIENTS Effective for reporting on 2014, 2015 and 2016 flows」におけるLeast Developed Countries、Other Low-income Countries、Lower Middle-income Countries/Territories、 89カ国
・応募件数:560件 45カ国
・支援件数:6件 5カ国 (トーゴ1件、マダガスカル1件、タンザニア1件、パキスタン1件、インド2件)

報告書
JWFファンド2016 報告書(日本語)(PDF)
JWFファンド2016 報告書(英語)(PDF)

JWFファンド 2016の支援先

1.ラヴィエ・アペドム地域における井戸・衛生施設の建設と衛生啓発活動(トーゴ)

プロジェクト概要
・実施団体:CHARITÉ CHRÉTIENNE POUR PERSONNES EN DÉTRESSE (CCPD) (#015)
・活動名:ラヴィエ・アペドム地域における井戸・衛生施設の建設と衛生啓発活動
・実施地:トーゴ、プラトー州
・実施期間:2016年11月~2017年4月
・受益者数:290人 (女性100人、男性55人、子ども135人)、間接受益者数525人
・費用:2,200ドル (JWFファンド1,000ドル、地域住民の負担918ドル、CCPDより282ドル)

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トーゴ

実施地の課題
ラヴィエ・アペドム地域には水供給設備と衛生設備がないため、水と衛生の状況が深刻で、住民たちは池から水を汲み、野外排泄を行っている。雨が降ると、し尿や廃水が雨水とともに地下に浸透し、地表に近い地下水源はいたる所で汚染されるため、人々が生活用水として必要とするきれいな水を得られる水源がない。この地下水や池が病気の温床となっており、きれいな水と適切な衛生設備の不足によって病気にかかる人や死者が毎年多く発生している。また、この地域ではコレラがたびたび流行しており、特に女性や子どもが犠牲になっている。

プロジェクト実施事項
1)井戸1基を設置
2)エコサントイレ1基を設置
3)手洗い場1カ所を設置
4)維持管理委員会を設立
5)水と衛生に関する啓発活動を3回実施

これらの活動により、住民は安全な水と衛生設備を利用できるようになったため、不衛生な水と環境に起因する病気や死者が減ることが期待される。

現場からの声

  • アメノさん(小学校児童)
    私は祖母と弟と暮らしています。このプロジェクトが始まる前、私は毎日朝早く起きて遠くの池まで水を汲みに行っていました。学校にいつも疲れて遅刻していました。でも今は井戸から水を汲めるので水汲みの負担が無くなりました。いつでも水を得ることが出来ます。この井戸は特別な贈り物です!CCPDとJWFに感謝します!
  • ノプリムさん(小学校の教員)
    昨年、この時期に12人の生徒が中退しました。彼らは病気で学校を休みがちだったり、遅刻したり授業中に居眠りをしていました。今はこの井戸のおかげで、特に女児が授業を受けられるようになりました。結果として、登校率が改善されました。私は地域の健康促進委員としてトレーニングを受け、生徒に個人衛生と清潔な学校や家庭環境の保ち方を教えています。JWFの支援に感謝します。
  • カフリさん(村の左官)
    トレーニングへの参加や衛生環境の改善、いつでも水へアクセスできることによって、将来のより良い機会へ挑戦することができます。CCPDのヤウォディレクターと働けた事はとても刺激的で、技術を身に着けることができました。CCPDに神のご加護が有りますように!JWFのおかげで長生きできます!
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池から流れる水を汲む住民 建設した井戸と住民

 

2. タークハ村における水と衛生の促進(パキスタン)

プロジェクト概要
・実施団体:Human Development Promotion Group (HDPG) (#168)
・活動名:タークハ村における水と衛生の促進
・実施地:パキスタン、チャルサダ
・実施期間:2016年11月~2017年2月
・受益者数: 直接受益者数1,392人、間接受益者数11,136人
・費用:1,874ドル (JWFファンド994ドル、地域住民の寄付370ドル、HDPGより510ドル)

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パキスタン

実施地の課題
2016年7月にニーズ調査を行った結果、対象の村では安全な飲み水の水源が不足していることが分かった。多くの住民は、深度20~30メートルの開放式井戸や電動ポンプ式井戸を使用しているが、60%の住民たちが飲み水に適した水を利用できておらず、いずれも取水部が開放されているため、水関連の病気につながる水の汚染を招く恐れがあることが分かった。

プロジェクト実施事項
1)ハンドポンプ付き井戸を2基設置
2)健康と衛生に関する啓発活動を4回実施
3)維持管理委員会を設立
4)水質検査を実施

これらの活動により、タークハ村の住民が安全な飲み水を得られるようになったため、病気の治療費や薬代の削減が期待される。

現場からの声

  • タークハ村の人びとはJWFによる村の安全な飲み水に関する問題解決のための資金支援とHDPGによる解決策の提供とその取り組みに感謝している。本プロジェクトにより、村の住民たちが当事者意識を持つことができた。
  • HDPGは、この地域での水と衛生に関するプロジェクトを実施する機会を得ることができ、担当者はこの分野における技術を高めることができた。
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既存の開放式井戸建設したハンドポンプ付き井戸

 

3.中・高等学校における衛生設備の修繕・建設と水と衛生の促進(インド)

プロジェクト概要
・実施団体:PHD Rural Development Foundation (PHDRDF) (#449)
・活動名:中・高等学校における衛生設備の修繕・建設と水と衛生の促進
・実施地:インド、スィーカル
・実施期間:2016年11月~2017年4月
・受益者数:直接受益者数272人(女子生徒140人、男子生徒120人、教師12人)、間接受益者数1,360人
・費用:1,149ドル (JWFファンド1,000ドル、団体の負担149ドル)

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インド

実施地の課題
スィーカル州では水確保が難しく、1人あたりの所得の低さが、農村部の人びとの衛生状況に影響を及ぼしている。対象の学校では、衛生設備が破損しており、生徒が使える状況ではない。財源が乏しく、壊れた衛生設備を修理することができない。また水の不足により使用もできない状況が続いている。トイレがないために欠席する生徒も見られ、特に女子生徒はトイレに行くために自宅に帰り、男子生徒たちは野外で用を済ませている。

プロジェクト実施事項
1)事前調査を実施
2)既存トイレを改修
3)手洗い場兼水飲み場を設置
4)水質検査を実施
5)水と衛生に関する委員会を設立
6)水と衛生に関する啓発活動を2回実施
7)事後調査を実施

これらの活動により、学校に通う生徒と教師が水と衛生設備を利用できるようになったため、より多くの生徒が登校できるようになることが期待される。

現場からの声

  • 小学校校長
    PHDRDFによるトイレの改修や手洗い場の建設、手洗い方法を説明するイラストの塗装などの活動は、学校にとって本当に有益でした。生徒は野外排泄を止め、改修したトイレを使用しています。また、手洗いの習慣が身につき、不衛生による病気の発生が減るでしょう。以前より生徒が毎日登校するようになり、学校の周辺環境もきれいになりました。手洗い場兼水飲み場に設置した排水タンクのおかげで、地下水を無駄なく使用することができます。
  • 学校の教師
    トイレの改修や手洗い場、水飲み場の設置により、生徒たちの登校率が改善されました。生徒たちは毎日トイレを使用し、積極的に手洗い集会に参加しています。手洗い方法の描かれたイラストのおかげで、しっかりと手を洗うことができています。プロジェクトによって、学校がきれいになりました。今では生徒たちは毎日トイレを使用しています。
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破損した既存のトイレ改修した女子生徒用トイレ

 

4.安全な水供給のためのポンプ設置とWASH教育(マダガスカル)

プロジェクト概要
・実施団体:Grassroots Climate and Livelihood Actions (GRACLIA) (#108)
・活動名:安全な水供給のためのポンプ設置とWASH教育
・実施地:マダガスカル、アンツィラナナ
・実施期間:2016年11月~2017年3月
・受益者数: 600名 (女性170名、男性180名、子ども250名)
・費用:985.9ドル (JWFファンドより977.5ドル、地域住民からの寄付8.4ドル)

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マダガスカル

実施地の課題
マダガスカルの人口2,200万人のうち、およそ80%は公共サービスや施設がほとんどない農村地域に住んでいる。アンツィラナナのアンパンドロアントシリティ村では、村から数百メートル離れた川で女性や子どもたちが食器洗いや洗濯をしているが、その川の水は同時に飲み水や料理用としても使われている。住民の多くはトイレを持っておらず川近くで排泄するため、コレラや下痢症、腸チフスなど病気が発生している。さらに川の上流にはごみの投棄場があり、水が汚染されている。

プロジェクト実施事項
1)事前説明会の実施
2)ハンドポンプを3基設置
3)利用者組合を設立
3)水の浄化に関する啓発活動を実施

これらの活動により、アンパンドロアントシリティ村の住民が安全な飲み水を利用できるようになったため、汚染された水に起因する病気の減少が期待される。

現場からの声

  • メリソアさん(ハンドポンプ利用者組合のリーダー)
    この村に安全な水を恵んでいただき、感謝します。きれいな水を得ることはとても困難でした。年を取るにつれて小川まで水汲みに行くことが難しくなり、子どもたちは水汲みに時間を費やしていました。今は家の近くにハンドポンプができて、とても嬉しいです。以前のように水汲みに行く必要が無くなりました。ますます多くの人々がハンドポンプを利用し、利用料を支払っています。
  • ヴェロボダさん(水の浄化に関する啓発活動の参加者)
    水の浄化剤利用に関する啓発活動では、Sur’eauの使い方を学ぶことができました。川の水混ぜて使うとおなかが痛くなると聞いていたので、使うのが怖かったです。しかも、浄化剤を使った水が何日もつのかも分かりませんでした。でも今は疑問が解消されました。このプロジェクトに感謝しています。
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住民が水源として使用する川完成したハンドポンプと住民

 

5.小学校での雨水貯留タンクの建設とVIPトイレの建設(タンザニア)

プロジェクト概要
・実施団体:Tanzania Environment Management Catalyst (TEMACA Tanzania) (#030)
・活動名:小学校での雨水貯留タンクの建設とVIPトイレの建設
・実施地:タンザニア、ルヴマ
・実施期間:2016年11月~2017年4月
・受益者数: 直接受益者数450人、間接受益者数7人
・費用:1,750ドル (JWFファンド1,000ドル、地域住民と学校からの寄付250ドル、団体の負担500ドル)

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タンザニア

実施地の課題
ンデニェンデ村にある小学校には教師10名と450名の児童がいる。学校で使用する水は、学校から5~7キロ離れた村の南北を流れる川に頼っているが、飲み水や手洗いには質も量も十分でない。家からボトルに水を入れて持参する児童もわずかにいるが、その水も煮沸されていない。児童の多くが水に関連する病気にかかり、学校を欠席しがちである。また、この小学校には適切な衛生設備がない。草で囲った地面に穴を開けた簡易トイレはあるが、雨季には利用に危険が伴う。トイレを使用した後、児童が手を洗うための水が確保できていない。

プロジェクト実施事項
1)事前説明会を実施
2)VIPトイレを4基設置
3)衛生と健康に関する啓発活動を7回実施
4)トイレの使用方法に関する指導を実施
5)維持管理体制を構築

これらの活動により、小学校の児童及び教師が適切な衛生設備を利用できるようになったため、学習環境の改善と登校する児童の増加が期待される。

現場からの声

  • 小学校の児童は、JWFによる支援に感謝し、神様に長生きできることを感謝している。
  • TEMACA Tanzaniaは、JWFによる支援に感謝している。

写真

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 生徒が使用する簡易トイレ完成したVIPトイレ

 

6.農業用の水確保のための雨水貯留(インド)

プロジェクト概要
・実施団体:PRAGATI KORAPUT (#424)
・活動名:農業用の水確保のための雨水貯留
・実施地:インド、コラプト
・実施期間:2016年11月~2017年4月
・受益者数: 18世帯102人
・費用:1,366.95ドル(JWFファンドより983ドル、地域受民の寄付132.35ドル、団体の負担251.5ドル、他)

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インド

実施地の課題
対象地域では、18世帯の農家が約7ヘクタールの土地で小麦や野菜を栽培している。毎年雨季には一時間当たり150ミリから200ミリの大雨が降り、傾斜地であるこの農地を侵食し作物の被害が出る。乾季には土地が一気に乾燥し耕作ができなくなる。長年の侵食により土地が痩せ、生産性が低下しており、農家は雨季でさえも農業への意欲が下がり、町へ日雇いとして出稼ぎに出ることを選ぶ人もいる。薪や木炭を売って生計を立てている人もいるが、森林伐採につながっている。

プロジェクト実施事項
1)事前説明会を実施
2)利用者組合を設立
3)雨水貯留施設と排水路を建設

これらの活動により、対象の農家が年間を通じて農作物を栽培できるようになったため、安定した収入を得られることが期待される。

現場からの声

  • ラジュ・サンタさん(約2,000平米の農地を持つ農夫)
    雨水貯留施設建設の為、私は21人の村の住民の協力を得ました。建設にかかる人員を提供し、私は村で働くことができました。そうでなければ町へ日雇いの仕事を探しに行かなければなりませんでした。プロジェクトのおかげで農地の土壌が良くなり、一年中作物を栽培することができます。
  • ディバカール・ジャニさん(雨水貯留施設のそばに農地を持つ農夫)
    雨水貯留施設のおかげで、農地が土壌浸食される心配がなくなりました。それだけでなく、利用者組合によって農業以外の収入となる魚の養殖場としても使用できます。
  • トリナス・サンタさん(若い農夫)
    村の住民たちは、雨水貯留と保持の重要性を認識することができました。
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  乾季の農地の様子完成した雨水貯留施設

 

日本水フォーラム会員の皆さまをはじめ、Charity for Waterにご寄付いただいた皆さま、現地パートナー団体、対象地域の住民の皆さまなど、多くのご支援ご協力により本プロジェクトを実施することができました。ご支援いただき、ありがとうございました。

(報告者:アシスタント・マネージャー 郡司晃江)

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