日本水フォーラムは、11月9~10日に、国連アジア太平洋経済社会委員会(UNESCAP)と国連大学がタイ・バンコクの国連会議センターで共催したUN-Water水の安全保障に関するアジア・太平洋地域専門家会合に参加し,日本水フォーラムの活動の柱のうち、政策提言: アジア・太平洋水フォーラム(Asia-Pacific Water Forum: APWF)、及び草の根活動の支援に関する発表をそれぞれ行いました。
本会合は、UN-Water水の安全保障作業部会の後援のもと、アジア太平洋地域の水の安全保障に関する課題について認識し、水に関する持続可能な開発のための2030年アジェンダに係る国際合意目標(Sustainable Development Goals: SDGs)の達成に向けた、持続可能な道筋に関する議論を行うために開催されました。
本会合では、まず、アジア太平洋各地域の専門家・実務家が、アジア太平洋地域の水の安全保障に関する全体像や、家庭・経済・環境・都市・極端災害と水の安全保障の観点からそれぞれの活動紹介を行いました。(会合アジェンダ)
日本水フォーラムは、第1に、「アジア太平洋地域における水の安全保障の全体像」セッションにおいて、アジア太平洋地域全体のハイレベル会合の開催を通じて認識された水の安全保障に関する課題に関する発表を行いました(発表資料)。発表では、日本水フォーラムの概要やその強み、及び、APWFの活動概要、これまでのアジア・太平洋水サミットの開催結果の紹介を通じて、アジア太平洋地域における水の安全保障の改善に関する議論の動向、及び、課題について言及しました。その上で、2017年の開催に向けて準備を進めている「第3回アジア・太平洋水サミット」を通じ、各国の政府リーダー等に水の安全保障の改善に向けたメッセージを発信し、具体的な行動を促すために各機関からの協力・協働を求めました。これらの発表を基に、会合参加者は、水の安全保障に関する観点をアジア太平洋地域のSDGsの実施に向けたロードマップに入れ込むための率直な議論を行いました。
第2に、「家庭の水の安全保障セッション」において、日本水フォーラムは、アジア太平洋地域の途上国における草の根レベルで、飲料水や衛生環境の改善に向けた取り組みを実施してきたことによる好事例の共通点と課題について発表をしました(発表資料)。また、草の根活動を通じて、SDGs目標6を着実に達成していくためには、事情や状況に応じた先進事例を体系的に提示し、プロジェクトの計画、実行、評価、改善(PDCA)サイクルを改善していくための戦略計画が必要であることを強調しました。 (発表サマリー)
本会合の全体討論では、制度的、規制的、資金的、環境的便益を活用し、異なるパートナーを巻き込みながらマルチセクターアプローチをとっていくことによる便益を引き出したり、効率的な水インフラを活用して水災害に対して強靭で持続可能な都市を形成していくことによる機会や課題に関する意見交換を行いました。最後に、これまでの議論を総括し、水に関する持続可能な開発目標を達成していくために必要な追加的研究や、能力開発、データや知見の共有メカニズムの構築、好事例の普及に向けた支援の必要性、及び、国やセクターを超えた協力の必要性について強調した提言を、11月11日(水)~13日(金)にUNESCAPが開催した「アジア太平洋地域のSDGsに関する専門家協議会合」で報告するためのメッセージとして取りまとめました。
日本水フォーラムは引き続き国連機関と共同し、政策提言活動を通じて国内外の水問題解決に向けて活動を展開していきます。