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【JWF News Vol.158】 アジア・太平洋水サミットに向けて
2017年11月15日発行
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◇目 次◇
・「第3回アジア・太平洋水サミット」開催(12/11-12、ミャンマー)
・巻頭言 アジア・太平洋水サミットに向けて
・活動へのご支援・ご協力のお願いについて
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「第3回アジア・太平洋水サミット」開催(12/11-12、ミャンマー)
日本水フォーラムが事務局を務めるネットワーク組織「アジア・太平洋水フォーラム」は、ミャンマー政府と共催で、「第3回アジア・太平洋水サミット」を、2017年12月11日~12日に開催します。
「第3回アジア・太平洋水サミット」は、国連持続可能な開発目標(SDGs)が2016年にスタートしてから、初めてアジア太平洋地域において開催される、水に関する首脳級会合です。
▼「第3回アジア・太平洋水サミット」開催のお知らせ▼
https://www.waterforum.jp/jp/news/2017/1013/?p=7195
▼第3回アジア・太平洋水サミット 公式ウェブサイト(英語)▼
http://apwf.org/summit/myanmar2017/
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・巻頭言 アジア・太平洋水サミットに向けて
代表理事 竹村公太郎
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経済発展と水の失敗
水は全ての国にとって重要な資源です。どの国の経済発展も水と深い関わりをもって進んで行きます。その水との関わりは、ほとんどが失敗のプロセスとなって現れていくのが実情です。
経済が発展していく時には、水が大量に必要となります。河川の水量は変動するので、ダムがなければ日照りで大渇水となり、社会生活は混乱してしまいます。
地下水の利用でも失敗します。地下水は見えません。人々は見えない地下水を徹底的にくみ上げてしまいます。地下水位はどんどん低下し、次々と井戸を深くしていくこととなります。特に、沖積平野では地盤沈下が発生し、高潮や洪水の危険にさらされていきます。
水の量の失敗だけではありません。水質の失敗も繰り返してしまいます。
大量に使った水をそのまま河川・湖沼に垂れ流せば、水質が汚染され、その水は飲めません。目の前に水があるのに使えなくなってしまうのです。社会の発展の負の姿は、全て水の姿で現れてきます。
この失敗は他の国の失敗ではないのです。日本そのものの失敗なのです。
日本の失敗
第2次大戦後、日本は経済急成長時代を迎えました。水供給の施設が十分でないまま、地下水を過剰にくみ上げて、日本中の沖積平野で地盤沈下を発生させてしまいました。
(図-1)は名古屋と大阪の地盤沈下図です。地盤は海面より下になり、ゼロメートル地帯が広がってしまいました。1959年、伊勢湾台風がこの名古屋を襲いました。台風の高潮は堤防を破壊し(写真-1)、ゼロメートル地帯を襲い犠牲者5,098名という大惨事をもたらしました。
水質でも大きな失敗を犯しました。下水処理インフラが整わないまま大量の汚水を河川に放流してしまい、河川は一気に汚染されてしまいました。(写真-2)
河川の水質環境を取り戻すには、長い年月と目がくらむほどの費用を要しました。その結果、河川は次第に回復し、今では子供たちの遊び場になりつつあります。(写真-3)
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(図-1) |
(写真-1) 1959年、伊勢湾台風で破壊された堤防 「四日市 磯津(1959)」DPRI PIC 2016/01/1006/A/1006-04/1959, 京都大学防災研究所伊勢湾台風高潮被害調査資料, 1959, 2010. (DPRI PIC 2016/01), 京都大学(京都大学研究資源アーカイブ). > 撮影:岩垣雄一(京都大学名誉教授) > 整理:間瀬肇(京都大学防災研究所教授) |
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(写真-2) 50年前の多摩川(東京都) 出典:東京都水道局 |
(写真-3) 多摩川で遊ぶ子供たち(東京都) 出典:国土交通省 |
多国間のネットワーク
現在、発展している国々、これから発展していく国々はどうしたらこの失敗を事前に防止できるのか。防止する方法は、一つしかありません。先進国の失敗を学ぶことです。先進国も発展途上時に、水で失敗をしています。そして、莫大な予算と努力によってどうにか克服しつつあります。
発展途上国はこの先進国の失敗と克服への努力を知ることによって、事前に水問題の発生を防止できるのです。水問題はその国の独自の問題です。しかし、水問題の解決には、多くの国々の経験と英知を交換するネットワークが必要なのです。
世界水フォーラムという世界レベルでの水問題を議論し、情報交換していくネットワークがあります。3年ごとに世界各地から政治家、行政、各機関、教育者、NPO等が集まり、水問題の現状と問題を議論して、水問題解決のための情報交換を行っています。
この世界水フォーラムでの情報交換で、水問題は単に自分たちの国だけの問題だけではなく、地球上すべての地域の課題であり、自分たちは決して孤立していないことを知ります。
しかし、世界は広く、5大陸によって水の状況は全く異なっています。
アジア太平洋諸国の連携
私たちの住むアジア太平洋は、ユーラシア大陸の東から南の陸地と、多くの太平洋に浮かぶ島々で構成されています。
この地域の国々に共通するものは、アジアモンスーンという気候です。(図-2)は、世界の降水量のデータです。
(図-2) |
アジアモンスーンは雨量には恵まれています。しかし、この国々の地形は山岳が多く、平地は軟弱な沖積平野です。雨が降れば、雨は一気に洪水となって、あっという間に海に戻っていきます。その結果、雨の洪水で苦しみ、気まぐれな日照りで悩まされてしまいます。Too Much Water, Too Little Water なのです。
そのため、同じ気候帯にいるアジア太平洋諸国の人々が集まり経験と英知を交換することは、アジア太平洋諸国の共通の知識となり、自国の水問題の解決に直接役立つこととなります。
さらに、水問題は幅広い行政に関連します。水問題解決には、これら行政の上に立つ最高レベルの政策決定者の理解と熱意が重要です。各国の最高決定者たちが、自由に水問題を議論する会議が、アジア・太平洋水サミットです。
そのアジア・太平洋水サミットが、12月11日、12日にミャンマーのヤンゴンで開催されます。
日本の大分、タイのチェンマイに続く第3回目のアジア・太平洋水サミットとなります。この会議が有意義なものとなるよう、事務局を担う日本水フォーラムのスタッフは日夜準備に追われています。
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・活動へのご支援・ご協力のお願いについて
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