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【JWF News Vol. 165】感動は微分 ―打ち水大作戦―
2018年7月18日発行
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◇目 次◇
・巻頭言 感動は微分 ―打ち水大作戦―
・日本水フォーラムからのお知らせ
– <SDGsを企業戦略に!>7/27(金)セミナー開催
– 打ち水大作戦2018開幕! 7/23(月)・大暑、横浜中華街
・採用情報
-アシスタント・マネージャー募集
・活動へのご支援・ご協力のお願い
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・巻頭言 感動は微分 ―打ち水大作戦―
代表理事 竹村公太郎
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打ち水大作戦
今年も「打ち水大作戦」の季節になりました。2003年以降、日本水フォーラムが中心となって、この「打ち水大作戦」を全国に向けて提唱してきました。
実施する時期は、暑さの最盛期の大暑からです。参加するのは個人でも団体でも、場所も全く自由に、楽しく行えばよいという運動です。但し、一つだけ約束があります。水道水は御法度なのです。
台所の水や風呂の水など、一度使った水を使用するのがルールです。貴重な水を繰り返し使おうという趣旨です。日本水フォーラムがこの打ち水を提唱したのは、水の大切さを再認識してもらい、日本の伝統を自分たちで体験し、次の世代へ引き継いでいこう、というものでした。
インフラ整備とともに水を忘れる
21世紀の現在、世界の多くの人々が、衛生的な水を飲めず苦しんでいます。子供たちは、一日に数時間も水くみに従事して学校へ行くこともできません。
それに対して、日本人は水が豊富と思い込んでいます。しかし、日本の雨は短時間で集中的に降ります。さらに、日本列島の地形は急峻なので、降った雨はあっという間に海に戻ってしまいます。ほとんどの日本の川の水は、日帰りで海に戻ってしまいます。大河川の利根川でさえ、せいぜい2泊3日で海に戻ってしまいます。そのため昔から、日照りが少しでも続くと深刻な旱魃で悩まされてきました。
戦後の高度成長期から、日本は懸命に水のインフラ整備に向いました。あっという間に海に戻ってしまう水をダムで貯め、浄水場できれいにし、各家庭へ配る水道システムを完成させました。
今では、いつでもきれいな水が水道の蛇口から出る。この水インフラの整備とともに、日本人はいつしか水の大切さを忘れていきました。
その水の大切さを思い起こそうというのが、打ち水イベントになりました。
感動は微分
打ち水そのものの効果は、限定的です。打ち水でヒートアイランドや地球規模の環境問題を克服できるとは思っていません。
しかし、打ち水には別の効果があるのです。
打ち水イベントに参加して、気が付いたことがありました。桶から手ですくう水が、とても柔らかかったのです。ベランダの庭木にホースで水をやる時、ホースから勢いよく出る水の束は強くて硬いです。ところが、自分の手ですくう打ち水は、頼りないほど柔らかでした。
その柔らかな水を打った瞬間、周辺の温度がわずかに変化し、かすかな風も起きたような気がしました。自分の手で柔らかな水をすくい、わずかな空気の変化を皮膚で感じた時、「これが水か」という小さな感動を抱きました。
感動は概念ではありません。感動は具体的なモノが、かすかに揺らぎ、それを身体の五感で感じ取る瞬間に湧いてきます。
短時間でモノが物理的に動く量、数学でいえば微分です。人間の五感で感じるモノのゆらぎ量が微分で、その微分が感動となるのです。
打ち水の柔らかな水とかすかな風の微分を感じながら、私はインフラの宿命を思ってしまいました。インフラの宿命とは、インフラが整備されインフラがストックされていくと、人々の心はインフラから離れていってしまうことです。
インフラ・ストックは積分
70年前、日本は敗戦によって廃墟となりました。戦後の復興が開始されました。日本人は住宅や道路ができれば喜び、水道から水が出れば喜び、電気が通じれば喜びました。
そのインフラの微分値は、とても大きかったのです。インフラの微分値が大きいほど、人々の喜びは大きく、もろ手を上げてインフラの完成を祝福してくれました。
その後、日本社会のあらゆる分野で、インフラが整備されインフラのストックが進みました。
インフラの本質は、フローではありません。ストックです。
ストックは、数学で言えば積分です。ストックつまり積分が大きくなっていくインフラにおいて、新しくインフラが一つ完成した場合、その完成したインフラ効果の微分値はどんどん小さくなっていきます。人々が微分値の小さいインフラに感動しなくなるのは当然です。
インフラのストックは必要ですが、そのストックが人々の感動をインフラから遠ざけ、インフラへの理解から遠ざけていきます。
このインフラの宿命を感じながら、今年も暑い日差しの中で打ち水イベントに参加して、小さな感動を感じていきます。
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・日本水フォーラムからのお知らせ
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– <SDGsを企業戦略に!>7/27(金)セミナー開催
7/27(金)15:30-17:30(開場15:00)、中央合同庁舎2 号館(千代田区霞が関)にて、タジキスタン大使館との共催により、水に関する世界最大最新の国際動向「国連水の国際行動の10 年(2018-2028)」をテーマとしたセミナーを開催します。
SDGsを企業戦略に位置付ける取組みや、ESG投資の潮流を踏まえた経営・CSR等に携わる皆様をはじめ、水の課題を体系的に理解する機会を探していた皆様などに、是非この機会を活用いただきたく、ご参加をお待ちしております。
参加お申込受付〆切:7/25(水)。但し、定員(先着30名)に達し次第締め切ります。
参加無料。
▼詳しくはこちら▼
https://www.waterforum.jp/wp/wp-content/uploads/2018/07/lounge20180727.pdf
(報告者:マネージャー 桑原清子)
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– 打ち水大作戦2018開幕! 7/23(月)・大暑、横浜中華街
今年で16年目を迎えた「打ち水大作戦」。その開幕イベントである「開幕打ち水大作戦」が、初めて横浜で開催されることになりました。
「横浜媽祖廟」での開幕式を皮切りに、「中華街大通り」で打ち水大作戦を実施します。
7/23(月)14:00から15:00頃まで(雨天順延、予備日24日(火))。是非、ご参加ください!
▼詳しくはこちら▼
http://www.city.yokohama.lg.jp/suidou/press/press-20180718-1.html
(報告者:マネージャー 桑原清子)
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・採用情報
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-アシスタント・マネージャー募集
現在日本水フォーラムでは、アシスタント・マネージャーを募集しております。
日本水フォーラムのミッションとビジョンを理解し、地球上の水問題解決に貢献したいという、強い意志をお持ちの方のご応募をお待ちしています。
ご質問等、お気軽にE-mail (recruit[at]waterforum.jp)またはお電話にてお問い合わせ下さい。
※[at]をアットマークに変えて送信してください。
▼募集内容の詳細はこちら▼
https://www.waterforum.jp/all/recruit/2018/0625/?p=4234?tag=jp,rep_jp
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・活動へのご支援・ご協力のお願い
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日本水フォーラムは、皆様の会費及び寄付等によって国内外の水問題解決に向けた活動を行っております。
日本水フォーラムの活動を支援していただける会員を募集しております。
水問題解決に向けた持続可能な取組みを行うために、皆様の温かいご支援をなにとぞよろしくお願いいたします。
▼会員募集の詳細はこちら▼
https://www.waterforum.jp/jp/get_involved/
日本水フォーラムは、国内外の水問題解決に向けて分野問わず幅広い方々と協働で活動を展開しています。
日本水フォーラムの活動にご協力いただける方、ご興味のある方は以下よりお問い合わせください。
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JWF News Vol.165 平成30年7月18日発行
特定非営利活動法人日本水フォーラム
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